書籍
河下水希先生がジャンプSQでノリノリで連載していた『Gまるえでぃしょん』(前巻のインプレは「ノリノリである―『Gまるえでぃしょん(1)』 - SHARPのアンシャープ日記」でエントリー)。第二巻にして最終巻を買った。G丸が物語を動かすところは相変わらず…
建築っていいなと思わせる冬目景の『マホロミ』の最新刊。ほぼ1年振りの新刊、というのはまあ予定通りと言ってもいいんだろう。あらすじは以下。 真百合と出会い建物の記憶を視る能力に目覚めた土神。 大学で建築を学びながら建物たちの過去に触れるうちに…
今年に入って三冊目の歌野晶午は、2002年の作品『世界の終わり、あるいは始まり』。公式の紹介文は以下の通り。 私の子供が誘拐犯なのか? 新境地を切り開く衝撃のサスペンス!東京近郊で連続する誘拐殺人事件。被害者たちの父親の名刺がすべて、なぜか私の…
『月は無慈悲な夜の女王』みたいな話かと思って読んでみたら全然違う話だったでござる。むしろ、主人公のメガネ君の願いが人間の力を超えたところで叶うとか、部屋の中のドアを開けるととんでもないところにつながるとか。四次元的な設定。これは、ロバート…
映画の方ではなくて原作小説の方の『桐島、部活やめるってよ』。青春群像劇。でもそう言い切るのはどうかと思われるくらい、ストーリーらしいストーリーがない。思いだけは爆発しそうなくらいあるのに。言葉だけは空回りしそうなくらいにあるのに。ただただ…
『永遠の0 (ゼロ)』でデビューした百田尚樹はかつて放送作家だった。経歴で作家を判断する訳ではないが、構成がいかにもTV番組的であると感じさせる。かつて零戦のパイロットであり、戦死した宮部久蔵のことを孫たちが調べる。この孫たちがとっくに二十歳を…
『殺人鬼フジコの衝動』は不思議な小説である。ストーリーはフジコという女性が関わった殺人事件を時系列で描写していくに過ぎない。だが、まるで三面記事のような下世話な人間関係の描写と、主人公の一人称で語られる内面の醜悪さが、灰汁の強さを醸し出し…
いつかは『ウツボラ』について書かなくてはいけないと思っていた。中村明日美子のサイコサスペンス。全2巻。だが、なかなか書けずにいたのは、この作品が読者の内面を抉る性質を持っているからだろう。ストーリーは以下の通り。 謎の死を遂げた美少女「藤乃…
穂積のデビュー短編集『式の前日』を読む。表題作の「式の前日」は短いながらも強い余韻を残す話だが、その次に収録されている「あずさ2号で再会」もまた心温まる話。この作家の場合、あらすじ自体がネタバレになりかねず、それによって感動が減じられるこ…
探偵達が、依頼人から持ち込まれた殺人事件について、ああでもない、こうでもないと独自の推理を開陳して論理を戦わせるストーリー。その推理のアクロバティックで荒唐無稽なところはまるでコリン・デクスターの「モース警部シリーズ」のようだ。モース警部…
小野不由美の十二国記シリーズを順番に読んでいく。今回は『東の海神 西の滄海』。ストーリーは以下の通り。 国が欲しいか。ならば一国をやる。延王尚隆(えんおうしょうりゅう)と延麒六太(えんきろくた)が誓約を交わし、雁国(えんこく)に新王が即位して二十…
小野不由美の十二国記シリーズを順番に読んでいく。今回は『風の海 迷宮の岸』。ストーリーは以下の通り。 天啓にしたがい王を選び仕える神獣・麒麟。蓬莱国で人間として育った幼い麒麟・泰麒には王を選ぶ自信も本性を顕わす転変の術もなく、葛藤の日々を過…
「十二国記」12年ぶりのオリジナル短編集が、本年7月1日発売決定ということで、『魔性の子』を読む。ある学校で起きる不可解な事件。特定の人物と関わりを持った人が連続して死んでいく。こうした超自然的な設定やホラーな雰囲気から、綾辻行人の『Another』…
貫井徳郎の『慟哭』を読んだ。ある程度ミステリに親しんでいれば、この作品の仕掛けにはかなり早い段階で気付くはず。類似のミステリやゲームも少なくない。だから、この作品は「トリック」を売り物にしない方がいいと思う。本書で描かれるのは、幼女誘拐事…
世界の現代アーティストによる写真作品243点を収録した現代写真論。順番に、コンセプチュアル、コンストラクティッド、デッドパン、静物、私写真、記録写真、ポストモダン、マテリアルの8つのテーマを一章ずつ用いて説明している。この分野でのテキストとし…
『葉桜の季節に君を想うということ』が面白かったので、歌野晶午の作品を続けて読む。今日は『絶望ノート』。舞台は中学校。主人公は中学二年生。いじめに端を発した事件。物語は、主人公の書く日記の一人称と、神の視点の三人称を交互にして進んでいく。歌…
たまにはミステリでも読もうと思い立ち、歌野晶午の『葉桜の季節に君を想うということ』を買った。ミステリの場合には、情報収集しすぎるとネタバレにつながることもあるので、事前知識を入れないままに読み始めた。結果、夢中になって一気に読んでしまった…
愛は祈りだ。僕は祈る―これは舞城王太郎の『好き好き大好き超愛してる』の冒頭。この作品は第131回芥川賞の候補になった。 今回の第147回芥川賞では『美味しいシャワーヘッド』が候補になっている。『美味しいシャワーヘッド』の冒頭はこうだ。 シャワーヘッ…
ロラン・バルトである。写真論である。いずれも興味を惹くにもかかわらず、今まで読んでこなかったのは、物凄く影響されそうな予感がしたからだ。だが、実際に読んでみると、そういう予感が杞憂に過ぎないことが分かった。結論から言えば、これは写真論のよ…
『銃・病原菌・鉄』で有名なジャレド・ダイアモンドの『文明崩壊―滅亡と存続の命運を分けるもの』が文庫本になったの読んでみた。文庫といっても、上下で合計1,100ページという大作なので、年末年始のひまつぶしには丁度良い。内容は、イースター島やマヤ文…
川島小鳥の写真集『トリコ』を買った。テーマは「東京=少女」。『B.L.T.』の連載に新作を追加しているもの。箕浦建太郎の絵も11点収録されている。このコラボは、今年の成海璃子カレンダー等でもおなじみのコンビ。フィルム的というかアナログ的な「温かさ…
“I think we’ll be ok here, Leon.” 「これで安心よ、レオン」 (『レオン』) 最終巻を読了。文句なしの傑作。相田裕の才能に感服。 当初、銃を持った少女がフラテッロとペアを組んで戦うという、ある意味で「オタク」にとってご都合主義的設定の作品が、こ…
前半は、宗谷名人対桐山五段。二人の勝負自体が「高み」にいる同士のみが辿り着ける場所であって、もう美しいとしかいいようがない。『エヴァQ』では少年達はピアノの連弾で心を通わせ合ったが、ここでは将棋を差し合うことで同じ世界を共有している。勝負あ…
前巻末で「そろそろ物語は収束モード」と思わせたが、そんな一筋縄で行くような話ではない。そして、ヨリもそんな一筋縄で行くような女ではない。女40歳。その難しさがリアルに描かれている作品になっているのではないかと思う。さて、次の巻では「雨降って…
仕事が忙しすぎて全く計画が進まない。京都本ばかりが増えていく。今回買ったのはこの2冊。アートを楽しむ京都地図本 (えるまがMOOK)作者: 京阪神エルマガジン社出版社/メーカー: 京阪神Lマガジン発売日: 2011/03/17メディア: ムック クリック: 4回この商品…
"earl grey"と"milk tea"。今年5月に同時にリリースされた今城純の写真集。前者はイギリスの風景、後者はポートレート。寒い季節には。甘いミルクティーが恋しくなる。ということで、"milk grey"をチョイス。大きくて重い本ではあるが、眺めていて温かくな…
書店を歩いていたら太田莉菜の表紙に目が止まった。アフタヌーンティーのチケット付きのムック。"Afternoon Tea Book & Tea Ticket"。Afternoon Tea Book & Tea Ticket (2012-13 HAPPY WINTER SPECIAL ISSUE)作者: MATOI PUBLISHING (編集)(著)出版社/メーカ…
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ! 「西炯子祭 3ヶ月連続9冊(5社7作品)リレーフェア開催」 な… 何を言っているのか わからねーと思うが おれも 何をされたのか わからなかった… …ということで、マンガ界での「ひっぱりだこ」ぷりは往年の手塚治虫…
『緒川たまきのまたたび紀行―ブルガリア篇』を眺めていると、ブルガリアのバラの美しさと、緒川たまきの文章の味わいに癒される。もう14年も前の本なのに。フィルムで撮られた写真の懐かしい雰囲気も現在では得難いものだ。ここでの緒川たまきは、被写体とし…
"69 annee elotique(69年はエロな年)"とジェーン・バーキンとセルジュ・ゲンズブールは歌った。 それになぞらえれば"12 annee evatique(12年はエヴァな年)"だと言わざるを得ない。そう。今年はエヴァ・イヤー。貞本エヴァの新刊、そして「新劇場版ヱヴァ…