そろそろ舞城王太郎に芥川賞を

愛は祈りだ。僕は祈る―

これは舞城王太郎の『好き好き大好き超愛してる』の冒頭。この作品は第131回芥川賞の候補になった。
今回の第147回芥川賞では『美味しいシャワーヘッド』が候補になっている。

『美味しいシャワーヘッド』の冒頭はこうだ。

シャワーヘッドを胃袋まで飲み込んだ状態で風呂場に倒れてるところを見つかって初めて、単なるお湯の出口に過ぎないそれが性的なメタファーとなりうることを知る。
(『美味しいシャワーヘッド』舞城王太郎
立ち読み|新潮|新潮社

相変わらず知的な文体。簡潔だが抉るような表現。十分に受賞に値すると勝手に思う。そろそろ受賞してもいいのではないだろうか。

だが、最近の芥川賞は話題作りのためもあってか、年齢や肩書き、そしてルックスを含めたキャラに注目が集まることが多い。この点で、学歴・職歴を公表していない覆面作家は不利だ。かりに授賞したとしても、式に欠席するだろうし(実際に三島由紀夫賞の授賞式に欠席した)。

ここいらで芥川賞は原点に帰るべきではないか。つまり、作家は作品で勝負する。ルックスは二の次、と。島田雅彦頼むぜ、と思っていたら、彼の過去のこんな発言を見つけてしまった。

絶世の美少女、たとえば宮崎あおいとか木村カエラとかにとりあえず書かせて、後で添削してあげればいいんです。
(2006年4月9日 青山ブックセンターでのトークショー)

…これは厳しいかもしれない。でも、僕は祈る。