映画

原作にまあまあ忠実に実写化された佳作~『ゴールデンカムイ』(2024年、日本、久保茂昭監督)

実写版の『ゴールデンカムイ』をネトフリで観た。劇場公開のときに行かなかったのは、あの時期大物ライブがあったりして忙しかったからということと、なんとなくだけどすぐに配信に来そうな気がしていたから。で、観た感想は、これは配信でいいかなという。…

ポジティブに受け止めるようにしよう~『マイ・インターン』(2015年、アメリカ、ナンシー・マイヤーズ監督)

あまり好きなタイプの映画ではないと思って敬遠してきたけれども、たまにこの映画のことを参照して文章書いている人を見るので、暇つぶしに観てみた。『マイ・インターン』の「マイ」はいらないよな(というか英語として不自然)と思いながら観始めたが、見…

過大評価されているのでは?~『首』(2023年、日本、北野武監督)

ネットフリックスのラインナップに加わったので、北野武監督の『首』を観た。信長・秀吉・家康の戦国時代を描いたもので、首が飛びまくるハードボイルドと、コメディっぽい演出の二面性を持つ作品。近年のNHKの大河ドラマだと、「一夫多妻制」でさえも、現在…

「あんのこと」(2024年、日本、入江悠監督)

入江悠監督の「あんのこと」を観に行った。新宿では、TOHOシネマズでもピカデリーでも上映がなく、新宿武蔵野館のみ。そして、この日・この回はなんと満席。公開からまだ一週間もたっていないのに。口コミでじわじわと評判が広まっているように思う。内容は…

音楽は良かった~『悪は存在しない』(2024年、日本、濱口竜介監督)

『ドライブ・マイ・カー』でアカデミー賞を受賞し、本作『悪は存在しない』で銀獅子賞を受賞。いまや濱口竜介監督の作品の国際的評価の高さは決定的となり、「評価すれば映画通」「評価できなければ映画音痴」みたいなリトマス試験紙的存在になってしまって…

教祖の欺瞞と民衆の危うさ~『デューン 砂の惑星 PART2』(2024年、アメリカ、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督)

思わせぶりで冗長で「ここで終わるのか?」となった前作。あれは長い序章に過ぎなかったということで、本作でようやく話が動き出す。このPART2で描くのは、カリスマ的リーダーというか、もっとはっきりいえば「教祖」の誕生。そして、人心を掌握して民衆を導…

フランス映画のような味わい~『ソウルメイト』(2023年、韓国、ミン・ヨングン監督)

中国・香港の『ソウルメイト 七月と安生』の韓国リメイク。キム・ダミ大好きなので、俳優目当てで観に行った。気軽に観に行ったけど、世界観に入り込んで感動してしまった。冒頭の少女時代の映像はとても甘美で、ノスタルジックで神がかってた。ストーリーも…

ゴジラの存在感と海戦のVFXの迫力があればすべてよし~『ゴジラ-1.0』(2023年、日本、山崎貴監督)

最近流行の「シン」でも「ゼロ」でもなく、「マイナス1」。要するに、オリジナルのゴジラが出現する以前、太平洋戦争敗戦期の日本を舞台とする前日譚。価値観の混乱する敗戦国にあって、改めて出現した強敵に対して「愛する人たちを守るために命を捧げる覚…

ローカルアイドルにも似た痛さ~『さよならエリュマントス』(2023年、日本、大野大輔監督)

「ミスマガジン2022」受賞者の瑚々、咲田ゆな、麻倉瑞季、斉藤里奈、三野宮鈴、藤本沙羅の6人が主演。地方のチアチームの活動をめぐる悲喜を描く作品だが、ローカルアイドルとも似ていると思うところもあり、ひりひりとした痛みを感じながら鑑賞。屑のマネー…

クリスティというよりディクスン・カー的~『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』(2023年、アメリカ、ケネス・ブラナー監督)

ハロウィンのベネチアを舞台に、都市伝説、亡霊、交霊会などのホラー要素を盛り込む展開。普段であれば頭脳明晰で冷静沈着なポワロだが、今回は、摂取したものの影響により、意識朦朧となったり、幻覚を見たりする。それがまた、現実と幻想の間の境目を不確…

過去作品へのオマージュを交えた王道展開~『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(2023年、アメリカ、ジェームズ・マンゴールド監督)

前作『クリスタル・スカルの王国』は、地球外生命体めいた展開になったり、インディが息子と世代交代しそこなったりと、自分的にはトラウマとも言える作品だった。今作では、息子を亡くしたインディが旧友の娘と行動を共にし、再び宿敵ナチス・ドイツと争い…

ホラーとしては拍子抜け~『M3GAN ミーガン』(2022年、アメリカ、ジェラルド・ジョンストン監督)

AIドールが持ち主を守ろうとし、また自我を守ろうとするSFホラー。先が読めてしまう展開や、ドールの外観の制約もあり、ホラー要素は後半にかけて失速。どちらかというと、科学技術や商業利用の暴走を問うという社会派のテイストが濃くなる。個人的には少々…

庵野秀明ワールド全開〜『シン・仮面ライダー』

『シン・ゴジラ』、『シン・ウルトラマン』に連なる昭和特撮のリメイク『シン・仮面ライダー』を観てきた。石ノ森章太郎の原作の持つ「改造人間の孤独・苦悩・悲哀」を軸にしながら、自分が戦うことの意味を問い続ける庵野秀明ワールドの主人公が繰り広げる…

映画『少女は卒業しない』(2023年、中川駿監督)

朝井リョウの連作短編小説を、中川駿の監督で映画化した『少女は卒業しない』を観てきた。群像劇として人物の描写のバランスがよく、関係性について謎を残しながら物語を引っ張り、クライマックスで感動が押し寄せる映画。河合優実の抑えた演技に最後泣かさ…

ジュブナイルとミステリと當真あみと〜映画『かがみの孤城』

當真あみちゃんに11月のイベントで会ったときに「観に来てくださいね」と言われていた『かがみの孤城』。封切り数日で映画好きの間で話題になり、評価も高くなっていったので、早く観に行くことに。本屋大賞を獲得した原作で、言ってしまえばミステリ要素の…

期待していたものとは違った”問題作”〜『仮面ライダーBLACK SUN』

「正義の味方」を描くとき、その「正義」が体制側になってしまう罠に多くの人が気付いている。アメリカ同時多発テロ事件とテロリスト掃討の後に生み出された2008年のクリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』はその懐疑に正面から向かった作品の一つ…

期待通り、いや期待以上〜『RRR』(2022年、インド、S・S・ラージャマウリ監督)

『バーフバリ』のS・S・ラージャマウリ監督の新作『RRR』が公開された。rrr-movie.jp 『バーフバリ』は古代に題材を取った物語だったが、今回は20世紀初頭のイギリス統治下という時代背景。神話の世界に近いとも言える前者のスケールの大きさに比して、今回…

化学反応は感じられず〜『ベイビー・ブローカー』(2022年、韓国、是枝裕和監督)

『ベイビー・ブローカー』を観てきた。韓国の赤ちゃんポストを題材にした社会派ロードムービーと紹介されることが多い。だが、実際に観てみると、「家族とは」というテーマを疑似家族による時間の積み重ねで浮き彫りにするという、近年の是枝監督で馴染み深…

好きなものは好きという清々しさ〜『メタモルフォーゼの縁側』(2022年、日本、狩山俊輔監督)

鶴谷香央理原作のコミックの映画化作品。最近は、この『メタモルフォーゼの縁側』といい『彼女が好きなものは』といい、ボーイズ・ラブを消費する映画から、ボーイズ・ラブを消費する女性を描く映画へと一段メタなレベルに上がっている感じがある。ここまで…

期待を上回る熱量と完成度〜『トップガン マーヴェリック』(2022年、アメリカ、ジョセフ・コシンスキー監督)

トム・クルーズの出世作『トップガン』の30数年ぶりの続編『トップガン マーヴェリック』。topgunmovie.jp時代も変わったのに、世界観が変わらず、トム・クルーズのかっこよさも変わらず、まさに往年のファンが期待しているものを、その期待を上回る熱量と…

心の奥を抉る何かがある〜『流浪の月』(2022年、李相日監督)

凪良ゆうによる小説を李相日監督で映画化した『流浪の月』。 gaga.ne.jp「正しさ」を押し付けてくる社会の息苦しさを描く重厚な作品だった。マジョリティがマイノリティに対して持つ偏見の息苦しさ。その中で誰にも理解されずに孤立していくマイノリティの業…

『シン・ウルトラマン』(2022年、樋口真嗣監督)

『シン・ウルトラマン』を観てきた。shin-ultraman.jp樋口真嗣、庵野秀明の原作愛が見事に結実。ウルトラマンとして「コレジャナイ」感は微塵もない再現がされていることに感動。そして、単なる懐古に止まらない21世紀の世界観とヒーロー像としてアップデー…

思春期の物語として秀逸〜『彼女が好きなものは』(2021年、草野翔吾監督)

去年の劇場公開の時に見る機会を逃した『彼女が好きなものは』。kanosuki.jp山田杏奈愛が止まらない中、DVDの発売される6月を待てないので、下北沢トリウッドまで行ってきた。『ひらいて』と『彼女が好きなものは』の同時上映という山田杏奈特集。4月からの…

納得感のあるエンディングが際立つ〜『コーダ あいのうた』(2021年、アメリカ・フランス・カナダ、シアン・ヘダー監督)

ミモザーヌのファンミーティングで話題になって、広井王子が「ボロ泣きした」とまで行っていたので、さっそく『コーダ あいのうた』を観に行ってきた。gaga.ne.jp聴覚障害者の両親と兄のいる家庭に唯一の健常者として生まれた主人公。家族の生計は4人が総出…

綿矢りさの原作を見事に映画化〜『ひらいて』(2021年、首藤凜監督)

山田杏奈強化月間。月が変わっても強化月間。そんな中、特典映像満載のBDが発売されたので購入して『ひらいて』を観た。ひらいて [Blu-ray]山田杏奈Amazon繊細な映画を観るならBDに限る。そして、インタビューや舞台挨拶や劇中歌MVもBDに限る。山田杏奈きっ…

『オペレーション・ミンスミート -ナチを欺いた死体-』(2022年、イギリス、ジョン・マッデン監督)

『オペレーション・ミンスミート -ナチを欺いた死体-』を観に行った。第二次世界大戦の連合国とナチスドイツの間の情報戦に題材を取っていたが、荒唐無稽にならない程度のエンタメの味付けがあり、細部にもリアリティを持たせて、バランスが良かった。恋愛要…

『HOMESTAY (ホームステイ)』(2022年、日本、瀬田なつき監督)

Amazonオリジナルの『HOMESTAY (ホームステイ)』をAmazonプライムで鑑賞。ブームが続く転生モノだが、転生設定に付き纏う「他人の身体を借りる」ことの倫理上の問題をクリアするプロット。「一人二役」を器用に演じ分けるなにわ男子の長尾謙杜が主演。好感を…

『ドライブ・マイ・カー』(2021年、日本、濱口竜介監督)

アカデミー賞ノミネートを機に『ドライブ・マイ・カー』を観た。村上春樹王道の。そこにチェーホフ『ワーニャ伯父さん』の劇中劇で隠喩的な内面描写が加わる。ストイックで脆いハルキ的主人公を西島秀俊が好演。いけすかない「若い男」役の岡田将生、無愛想…

『ウエスト・サイド・ストーリー』(2021年、アメリカ、スティーヴン・スピルバーグ監督)

古典となった『ウェスト・サイド物語』のリメイク。スピルバーグ監督らしく、自己主張が強すぎない王道路線で手堅くまとめられ、かつ原作ミュージカルへのリスペクトに溢れている。歌唱パートはカメラワークの妙もあって、ミュージカルを最前センターで観て…

疑い深く、排他的で、利己的なこの人類〜『ドント・ルック・アップ』(2021年、アメリカ、アダム・マッケイ監督)

「宇宙から脅威が来れば、地球の人はみんな正しいことをするために団結するのにな」そんな理想主義的なことを言う人がたまにいるのだが、人類の歴史を見ればそんなことは起きそうもないと僕は思う。残念ながら、人は疑い深く、排他的で、利己的なものだ、と…