映画

思春期の物語として秀逸〜『彼女が好きなものは』(2021年、草野翔吾監督)

去年の劇場公開の時に見る機会を逃した『彼女が好きなものは』。kanosuki.jp山田杏奈愛が止まらない中、DVDの発売される6月を待てないので、下北沢トリウッドまで行ってきた。『ひらいて』と『彼女が好きなものは』の同時上映という山田杏奈特集。4月からの…

納得感のあるエンディングが際立つ〜『コーダ あいのうた』(2021年、アメリカ・フランス・カナダ、シアン・ヘダー監督)

ミモザーヌのファンミーティングで話題になって、広井王子が「ボロ泣きした」とまで行っていたので、さっそく『コーダ あいのうた』を観に行ってきた。gaga.ne.jp聴覚障害者の両親と兄のいる家庭に唯一の健常者として生まれた主人公。家族の生計は4人が総出…

綿矢りさの原作を見事に映画化〜『ひらいて』(2021年、首藤凜監督)

山田杏奈強化月間。月が変わっても強化月間。そんな中、特典映像満載のBDが発売されたので購入して『ひらいて』を観た。ひらいて [Blu-ray]山田杏奈Amazon繊細な映画を観るならBDに限る。そして、インタビューや舞台挨拶や劇中歌MVもBDに限る。山田杏奈きっ…

『オペレーション・ミンスミート -ナチを欺いた死体-』(2022年、イギリス、ジョン・マッデン監督)

『オペレーション・ミンスミート -ナチを欺いた死体-』を観に行った。第二次世界大戦の連合国とナチスドイツの間の情報戦に題材を取っていたが、荒唐無稽にならない程度のエンタメの味付けがあり、細部にもリアリティを持たせて、バランスが良かった。恋愛要…

『HOMESTAY (ホームステイ)』(2022年、日本、瀬田なつき監督)

Amazonオリジナルの『HOMESTAY (ホームステイ)』をAmazonプライムで鑑賞。ブームが続く転生モノだが、転生設定に付き纏う「他人の身体を借りる」ことの倫理上の問題をクリアするプロット。「一人二役」を器用に演じ分けるなにわ男子の長尾謙杜が主演。好感を…

『ドライブ・マイ・カー』(2021年、日本、濱口竜介監督)

アカデミー賞ノミネートを機に『ドライブ・マイ・カー』を観た。村上春樹王道の。そこにチェーホフ『ワーニャ伯父さん』の劇中劇で隠喩的な内面描写が加わる。ストイックで脆いハルキ的主人公を西島秀俊が好演。いけすかない「若い男」役の岡田将生、無愛想…

『ウエスト・サイド・ストーリー』(2021年、アメリカ、スティーヴン・スピルバーグ監督)

古典となった『ウェスト・サイド物語』のリメイク。スピルバーグ監督らしく、自己主張が強すぎない王道路線で手堅くまとめられ、かつ原作ミュージカルへのリスペクトに溢れている。歌唱パートはカメラワークの妙もあって、ミュージカルを最前センターで観て…

疑い深く、排他的で、利己的なこの人類〜『ドント・ルック・アップ』(2021年、アメリカ、アダム・マッケイ監督)

「宇宙から脅威が来れば、地球の人はみんな正しいことをするために団結するのにな」そんな理想主義的なことを言う人がたまにいるのだが、人類の歴史を見ればそんなことは起きそうもないと僕は思う。残念ながら、人は疑い深く、排他的で、利己的なものだ、と…

『スティルウォーター』(2021年、アメリカ、トム・マッカーシー監督)

『スティルウォーター』を観に行ってきた。評論家の評価が高い割には上映劇場が少なく、TOHOシネマズシャンテまで。映像は渋く、物語も深く、最後に考えさせらえる。アメリカ映画ながら、舞台の半分をフランスのマルセイユにしていることもあり、欧州の雰囲…

『ラストナイト・イン・ソーホー』(2021年、イギリス、エドガー・ライト監督)

アニャ・テイラー=ジョイが出てくから、くらいの軽い気持ちで観に行った『ラストナイト・イン・ソーホー』。lnis.jpファッションデザイナーに憧れる地方の女子がロンドンのファッション学校に入って夢をかなえていく・・・的なオシャレ映画かと思いきや。(…

『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021年、アメリカ、アンディ・サーキス監督)

『ヴェノム』の2作目。前作の「最強にして最凶」コンビの誕生からどんな展開があるかと思えば、愛すべきキャラクター頼みでアクション多め、プロットは予定調和。全体的に“置きに行った”感は否めず、サプライズは少な目だった。そういうのを待っていたファ…

『ボクたちはみんな大人になれなかった』(2021年、森義仁監督)

燃え殻の原作小説の映画化。www.bokutachiha.jp2020年の現代に生きる46歳の主人公が、フェイスブックで昔の彼女”かおり”のアカウントを見つけてしまうところから物語は始まる。仕事、人間関係、私生活・・・現在は、過去に選び取った結果の延長の上にある。…

『エターナルズ』(2021年、アメリカ、クロエ・ジャオ監督)

サノスの指パッチン後の世界を描くMCUの作品群の一つ『エターナルズ』を観に行った。marvel.disney.co.jp地球外生命体のスーパーヒーロー10名による群像劇、と思いきや、そんな単純な話ではなかった。「スーパーヒーローはなぜ広大な宇宙の中のちっぽけな地…

良いところも悪いところもあるが序章としては合格点〜『DUNE /砂の惑星』(2021年、アメリカ、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督)

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『DUNE /砂の惑星』を観に行ってきた。wwws.warnerbros.co.jp原作は宇宙帝国を舞台にした壮大なスペースオペラで、『スターウォーズ』や『ナウシカ』にも影響を与えたもの。辺境の砂漠の星で、特殊な力を秘めた主人公が能力に目覚…

やりきった感~『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021年、英米、キャリー・ジョージ・フクナガ監督)

ダニエル・クレイグの007最新作『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』を観に行った。www.007.com(以下ネタバレ)最新作にして最終作。前4作の人間関係や行動が伏線となってここに至っている文字通り「集大成」。冷戦もとっくに終わった今、イギリスの敵はバイオ…

ユージン・スミスの最後の輝き〜『MINAMATA』(2020年、アメリカ、アンドリュー・レヴィタス監督)

『MINAMATA』を観に行った。longride.jp 水俣病の被害を世に告発する「意識高い系」の息苦しい映画だろうと思ったら、そうではなかった。かつて戦場カメラマンとして名を馳せながら50代に入って撮影への情熱を失った写真家ユージン・スミスの再起が主眼とな…

”正義”も”真実”も単純ではない〜『由宇子の天秤』(2021年、春本雄二郎監督)

渋谷ユーロスペースへ『由宇子の天秤』を観に行ってきた。ドキュメンタリー番組のディレクターで、女子高生自殺事件の真相を負う主人公。父親が営む学習塾の手伝いもしており、そこで一人の女子高生と出会う。全く関係のないはずの出来事がやがて重なってい…

日本を舞台にしたB級、だがそれがいい〜『ケイト』(2021年、アメリカ、セドリック・ニコラス=トロイア監督)

Netflixで新作映画を観ることも増えてきたが、『ケイト』もそんな作品の一つ。www.imdb.com余命短い暗殺者が、日本のヤクザのトップを殺すミッションを命じられる。そこで一人の少女と出会うことが彼女の運命を変えていく・・・というストーリー。世界観とし…

誰もが老いてやがて死ぬが〜『オールド』(2021年、アメリカ、M・ナイト・シャマラン監督)

シャマラン監督の最新作『オールド』。カリブ海のリゾートに旅行に行った家族が、宿泊先のホテルの支配人から”特別に”案内された秘境のビーチで奇怪な現象に巻き込まれる。逃げられず電波も繋がらない場所で、「オールド=加齢」が加速し次々に悲劇が襲ってい…

想像を超えるスケール〜『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021年・アメリカ、デスティン・ダニエル・クレットン監督)

『アベンジャーズ/エンドゲームで一区切りを迎えたMUC。そんな中での新ヒーローとなるシャンチーを主人公とする『シャン・チー/テン・リングスの伝説』を観てきた。marvel.disney.co.jpあー中国でしょ?そしてカンフーね?みたいなイメージだけで行ったが、…

たとえこの世界の主役になれなくても〜『フリー・ガイ』(2021年アメリカ、ショーン・レヴィ監督)

物心ついた頃の「全能感」は現実世界に揉まれることでどんどんと修正されていき、大人になる頃には自分が「この世界の主役に生まれていない」ことに気付かされる。ごく一部の人を除いて。「たとえこの世界の主役になれなくても、自分は自分のを生きたい」そ…

『クレヨンしんちゃん2021 謎メキ!花の天カス学園』(2021年、高橋渉監督)

三連休の初日。観に行こうとしていたオペラ『ニュルンベルクのマイスタージンガー』で関係者にコロナ陽性者が出てしまったため公演が中止に。そこで、評判のいい『クレヨンしんちゃん2021 謎メキ!花の天カス学園』を観に行ってきた。クレしん映画は、『嵐を…

B級娯楽大作、だがそれがいい〜『ゴジラvsコング』(2021年、アメリカ)

コロナ禍で公開延期となった『ゴジラvsコング』がようやく日本でも観られるようになったので、初日に足を運んできた。伏線や思想とはほぼ無縁なザ・エンタテインメント。冒頭から軽快なテンポで話が進んでいき、登場する人物は多いが深い描写も巧みに避けら…

シーズン1と2を通じて描かれた光と影〜『全裸監督』(武正晴総監督、山田孝之主演)

お待たせいたしました、お待たせし過ぎたかもしれません。『全裸監督』のシーズン2がNetflixで公開され、最終話まで見たので感想を残しておこうと思う。『全裸監督』は、2016年に太田出版から刊行された『全裸監督 村西とおる伝』を元にネトフリがオリジナ…

『夏への扉 キミのいる未来へ』(2021年・日本、三木孝浩監督)

時間旅行SFの古典とも呼ぶべきハインラインの『夏への扉』。当時に比べればタイムリープ系やループ系の設定は市民権を得てはいるが、このジャンルでは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』という大傑作があるだけに、映画チャレンジのハードルは高くなってい…

『閃光のハサウェイ』(2021年、村瀬修功監督)

『機動戦士ガンダムUC』の映画が完結を迎えた2018年11月、次の宇宙世紀モノとして3部作での製作が発表された『閃光のハサウェイ』。富野由悠季による原作小説は、小説『逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』の続編として発表されたが、映画の方は映画『…

『あのこは貴族』(2021年、岨手由貴子監督)

『あのこは貴族』を観に、新宿武蔵野館へ。山内マリコの2015年の小説を原作に岨手由貴子監督が映画化したもの。東京の山手に生まれ育って何不自由なく生活を送ってきて婚期を迎えて久しいアラサーのお嬢様。地方都市(原作者の出身地と同じ富山)から上京し…

『漂流ポスト』@アップリンク渋谷(清水健斗監督、神岡実希さん、中尾百合音さん舞台挨拶)

『漂流ポスト』を観に、再びアップリンク渋谷へ。前回の鑑賞時には気付かなかった細かい演技を味わえた。トークショーは、清水健斗監督、中尾百合音さん、神岡実希さん(左より)。この作品でロンドン国際映画祭外国語部門最優秀助演女優賞を受賞した神岡さ…

『漂流ポスト』@アップリンク渋谷(清水健斗監督、神岡実希さん舞台挨拶)

3.11から丸10年。清水健斗監督と神岡実希さんの舞台挨拶があると言うことで、『漂流ポスト』の上映に足を運んできた。シューマンをバックに神岡実希さんと中尾百合音さんが交流する場面の映像の美しさが忘れ難い。もう帰ってこないキラキラとした時間。終演…

死ぬまで青春は終わらない〜『あの頃。』(2021年、今泉力哉監督)

コロナ時代になって自宅でネトフリが捗っているけれども、それはそれとして、やはり劇場に新作を観にいくのはやめられない。ハリウッド映画が軒並み延期となる中で、意外にも邦画の新作は豊作になっている。ということで、今週4回目の映画館。好きな監督の新…