西炯子『なかじまなかじま(1)』

あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
西炯子祭 3ヶ月連続9冊(5社7作品)リレーフェア開催」
な… 何を言っているのか わからねーと思うが 
おれも 何をされたのか わからなかった…

…ということで、マンガ界での「ひっぱりだこ」ぷりは往年の手塚治虫を思わせる(って実はよく知らないけど)西炯子白泉社「MELODY」連載の新刊『なかじまなかじま』を読んだ。

お嬢様女子短大に馴染めない非モテの主人公・北白川麗奈。名前と外見のギャップがネタになる存在。
その彼女の前に時をほぼ同じくして現れた二人の男。片や44歳の映画監督。片や高校生のアスリート。いずれも「中島」。
彼女の方はその気がないのに二人の「中島」との距離は徐々に近付いて…という巻き込まれ系ラブコメ展開。
少女マンガとしてはベタな展開だが、二人の中島がそれぞれにいい男なのと、主人公が魅力的なので、ぐいぐいと作品世界に引きずり込まれる。メガネで地味でちょっとコミュ障っぽいけど、実はしっかりしている主人公が実にいい。

自他共に「地味」だと認めている主人公の前に、社会的地位にも容姿にも恵まれている中年男性が現れて、強引なアプローチで主人公を口説く―といういつもの西炯子パターンは本作品でも健在。だが、それが実に面白い。マンガ家として円熟期を迎えた西炯子先生。この作品の続刊が楽しみ、と書きたいところではあるが、個人的には『姉の結婚』の続きの方が気になるかな。

なかじまなかじま 1 (花とゆめCOMICSスペシャル)

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