『マンガは今どうなっておるのか?』

夏目房之介によるマンガ評論『マンガは今どうなっておるのか?』を読んだ。

マンガは今どうなっておるのか?

マンガは今どうなっておるのか?

冒頭、『のだめカンタービレ』『NARUTO』『鋼の錬金術師』という人気マンガを順番に考察していてとっつきやすい。ちなみに、単行本の発行は2005年9月で『のだめカンタービレ』のTVドラマ放送に先立つこと1年以上前。この点に、著者のアンテナの高さと評論の視座の確かさが表れているように思う。

途中は、個別の作品を論じたり、「マンガ家はもうかるのか?」と原稿料について考察したりと読者を飽きさせない。

そして、最後はまだ連載の始まって間もない『PLUTO』について触れ、浦沢直樹が今後この作品をどのように展開していくのか、その方向性について示唆している。

伊藤剛の『テヅカ・イズ・デッドテヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へと並んで、現在のマンガ文化を読み解く指針となる一冊だと思う。