実写版『のだめカンタービレ』最終回

素晴らしいドラマだった。野暮を承知で要因を挙げて行こう。

  1. 上質な原作があり、それを最大限に活かしたこと。特に、千秋が欧州に旅立つまでのエピソードに絞ったのが良かった。粗製乱造のシナリオが氾濫するなか、しっかりとしたストーリーが引き立った。
  2. 完璧なキャスティング。玉木宏、上野樹里の主役二人が原作のイメージ通りに千秋とのだめを演じた。上野樹里の天然ボケな演技はこれまでの彼女のキャリアの延長線上にあるものだが、玉木宏が見せた弾けるようなコミカルな演技は彼の新境地を開いたと思う。竹中直人の「怪演」は賛否両論だろうが、脇役陣もおおむね良い仕事をしたと思う。
  3. マンガ的表現をうまく取り込んだ演出。テンポのよさ、適度なメリハリ、コミカルなCG。過剰になると引いてしまうが、ドラマのリアリティを損なわない程度に効かせたスパイスが絶妙だったと思う。
  4. クラシック愛に満ちた劇中音楽。演奏のシーンはもちろん、他の場面でもBGMの使い方がキャッチーだった。

総じて、原作への愛情にあふれた素晴らしいドラマだったと思う。『のだめカンタービレ』、間違いなく今年のTVドラマのベストワンだ。