2014年のドイツ映画『ピエロはお前を嘲笑う』は、ハッカーが主人公のサイバー犯罪をモチーフとした作品。
「予想できないどんでん返し」が評判で、ハリウッドでリメイク予定。
ブラッド・ピットが有する映画製作会社「プランBエンターテインメント」が映画化権を獲得したと報じられた。
日本でも昨年公開されたが、今回、Amazon TVで視聴した。
捜査官が事件の唯一の生存者である主人公を取り調べる中で、本人から経緯や事件の真相が語られる…という設定からして1995年の『ユージュアル・サスペクツ』を思わせる。
1時間46分というコンパクトな尺も、『ユージュアル・サスペクツ』の1時間48分に極めて近い。
気弱な主人公、「信頼できない語り手」、「表層→真相→真実」の重層構造など、作品の構造もよく似ている。この『ユージュアル・サスペクツ』をオマージュしたような作品が、アメリカに「逆輸出」されるのは面白い。
もっとも、20年の年代を経て作られただけあって、俳優は現代的で、映像はスタイリッシュ、音楽もクール。
「犯罪」も、銃と血が頻出するようなものではなく、ネットワークとプログラムが中心。
ハリウッドでのリメイクが「過剰」なものにならないことを願う。
個人的に一番の見どころだと思ったのは、「サイバー空間」を擬人化したシーン。
観念的なものを視覚化するのって難しいと思うけれども、これは唸らされた。