『モールス(Let Me In)』

クロエ・グレース・モレッツが主演女優の『モールス』を見た。

ネタバレのない公式ストーリー紹介は以下の通り。

「私のこと好き?たとえ、普通の女の子じゃなくても?」
孤独な12歳の少年オーウェン。謎の少女アビー。 全ての秘密が明らかになったとき、衝撃の決断が・・・・。
雪に閉ざされた町。オーウェンは母親と二人きりで暮らし、学校ではイジメられている孤独な少年。ある日、隣にアビーという少女が越してくる。彼女は雪の上でも裸足で、自分の誕生日も知らない、謎めいた少女だった。何度も会ううちに、孤独を抱える二人は徐々に惹かれあい、お互いにしか分からない壁越しのモールス信号で絆を日に日に強くさせていく。やがて、オーウェンはアビーの隠された哀しく怖ろしい秘密を知ることになる。
時を同じくして、町では残酷な連続猟奇殺人が起こり始める。事件を捜査する刑事は、真相を追い続けるうちに二人の住む団地へとたどり着く――。
そして、全てが明らかになったとき、オーウェンが下す衝撃の決断とは・・・。

ハリウッドリメイクではあるが、隠喩的な描写、抑え目の色調、そして精神の内面を抉るような展開は、まさに欧州発の作品であることを感じさせる。主演男優のコディ・スミット=マクフィーは中性的な繊細さのある少年を自然に演じている。そして主演女優のクロエ・グレース・モレッツは難しい役ながら、単なる喜怒哀楽を超えた幅の広い表現を見せてくれている。ここにはあのヒットガールの愛くるしさの欠片もないけれども。明るくてキラキラしたクロエが見たいのであれば、この作品はお勧めできないが、彼女の芸達者な才能を知るには欠かせない作品の一つだと思う。

ストーリー紹介には「衝撃の決断」とあるが、エンディングには「悲しさ」とともにある種の「救い」も示されていて、個人的には観終えて満足できる作品だった。ただし、内容的に相当重いので、再鑑賞しようという気にはなかなかなれない(ネタバレしない範囲で書けることはこれくらいだ)。

最後に、『モールス』というタイトルだが、内容的には原題の『Let Me In』の方が、この作品の世界観を端的に表しているように思う。原作はスウェーデン映画の『ぼくのエリ 200歳の少女』。こちらのタイトルは『Låt den rätte komma in』、英語では『Let the Right One In』。邦題の方もこういう風にして欲しかったと思う。

モールス [Blu-ray]

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