渋谷ユーロスペースへ『由宇子の天秤』を観に行ってきた。
ドキュメンタリー番組のディレクターで、女子高生自殺事件の真相を負う主人公。
父親が営む学習塾の手伝いもしており、そこで一人の女子高生と出会う。
全く関係のないはずの出来事がやがて重なっていく。
そこで問われる、倫理、人間関係、そして自身の存在価値。
何を守り、そのために何を捨てるのか・・・
ポリティカルコレクトネスが叫ばれる20年代だが、“正義”も”真実“も単純ではなく、“天秤“でバランスを保つのさえも難しい。
僕らが今生きている世界は実はそんなに簡単に割り切れず、常に混沌としている。
そんな世界を、一つのフィクションとして見事に映画作品として結実させた。
こんな熱いテーマを真正面から取り上げて切り込んでいるのに、説教臭さもなく退屈さもなしにぐいぐい描き切って、観るものに問う。「あなたはどう思う?」と。
春本雄二郎監督、これが二作目とは信じ難い傑作。
主演の瀧内公美の演技も凄い切れ味。