やはり禅なのか〜『終わりのクロニクル(5)』

もはや何番目のGだかも分からなくなってきた。そして、各Gの世界設定のバリエーションも、そろそろ作者の想像力の限界に達しているような感がある。が、上下1000ページを超える分量を破綻なく書き上げるところは、素直に評価すべきなのだろう。


この巻では、佐山と新庄が、それぞれ独力で己のルーツに迫る。そして、自己との対話や、過去の発見等を通じて、全竜交渉の背景の全貌が明らかになっていく。スターウォーズもそうだけど、ボスキャラと戦う前に、自分を見つめなおすというのは、この手のサーガのお約束なのか。最終決戦の前の禅、みたいな。いずれにしても、このシリーズの中では最も面白く読めた。

スリルとサスペンス、そして適度の馴れ合いのギャグがこのシリーズの魅力だと思うが、相変わらず戦闘シーンは局所的で、個人技対決になりがち。また、大きな組織の絡んだ壮大な争いのはずなのに、いざ戦いとなるとそのスケールの大きさを感じさせない描写の弱さが欠点か。それでも、結末が気になって読み進んでしまうけれど。