こんなに容易な交渉はない〜『終わりのクロニクル(4)』

川上稔の『終わりのクロニクル(4)』を読了した。文庫本で上下巻合計で1,000ページなので、ほとんどドストエフスキー級。しかも(7)まで読まないと完結しないのだから、まだ先は長い。


今回の(4)では、「全竜交渉」という10の世界との交渉のうち、4th-G、5th-Gという二つの世界との交流、交渉、決着を描いている。しかし、交渉は手に汗握るものというよりも、ファンタジー的であったり、単なる弁舌による駆け引きであったりしていて、大河小説にふさわしい重厚さに乏しい。戦闘場面も最小限に限られていて、「世界の破滅を避けるための重大な交渉」という緊張感に欠ける。

結局、読むべきところは佐山と新庄の二人をはじめとする「おなじみ」のキャラクターの絡みだけのような気もする。著者に義理堅くお付き合いするつもりはないのだが、ここまで読んだ以上、残りも頑張ってみようかと思う。