カオスの中へ〜『終わりのクロニクル(6)上』

500ページを超える分量には慣れてきたが、なかなか読書の時間が取れず、ようやく本日読了。

局面的には、Top-Gearを含む全てのG(次元)が明らかになり、各Gの思惑や登場人物間の葛藤が描かれる。信念と信念のぶつかりあい。譲れない価値観。本来、闘いというのはそういうものだ。安易な妥協は許されない。まして、「なあなあ」で済ませようとすことなど考えられない。そのような作者の「戦争観」がはっきりと表れている。

キャラクターの掛け合いは、「お約束」のところも多いが、相変わらず読んでて楽しい。今後は、クライマックスに向けて、あらゆる問題が一気に提示され、(6)の下と(7)でそれを一気にまとめにいくのだろう(それにしても、あと1,600ページ以上が残されているのだが)。

表紙や挿絵は、さとやすによる「萌え」のテイストにあふれているが、この作品は「ライトノベル」のジャンルに収まりきれない硬派な主張を秘めている。これが、著者の川上稔の真骨頂か。