『オペラ座の怪人』(劇団四季)@四季劇場秋(岩城怪人・山本クリスティーヌ・加藤ラウル)

劇団四季の「春」「秋」の劇場が新しくなった。

場所は以前と同じ港区海岸(浜松町・竹芝エリア)だが、JR東日本の建物内の施設になった。

ビル内施設という点では、汐留の「海」と同じような感じ。

そして「秋」のこけら落とし公演となったのが、『オペラ座の怪人』。

NYでも、ロンドンでもロングランの演目だが、コロナ禍で両方とも休演中。

そんな中、東京の最新の劇場で観ることができるようになったのは大きい。

この『オペラ座の怪人』は、なかなか東京で上演してくれないイメージが強くて、自分の東京での鑑賞歴を調べると、2011年と2013年を最後に行っていない。

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もう8年も東京で観てなかったのか、ということで久しぶりの鑑賞に胸が高鳴る。

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新生「秋」は、現代の機能的な建物に入りながらも、クラシカルな雰囲気を演出した劇場で好印象。

そして、キャスティング。

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以前の四季は「スター」で客を集めずあくまで「演目」目当ててきてほしいというポリシーで、オフィシャルには当日行くまでキャストがわからなったが、今は違う。

週間予定が事前に発表されるようになった。

とはいえ、8年前とはキャストは様変わり。

岩城怪人、加藤ラウル、山本クリスティーヌ。

メイン3人は全員初見。

他のキャストもほぼ変わっている中、河村カルロッタだけが磐石。

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館内は、昇降するシャンデリア、指揮者の肩から上だけが見えるオーケストラピット、そして黄金色の天使像のオブジェ。

開演前の管楽器のチューニング音とも相まってクラシックな雰囲気を存分に盛り上げてくれる。

全体的な演出は、2011年のロンドン・ロイヤルアルバートホールの25周年公演や続編『ラブ・ネヴァー・ダイ』に寄り添ったもの。

歌や台詞の変更も随所に見られた。

ここで各キャストの印象を簡単に。

岩城怪人は、傷付きやすい繊細さが全面に出た雰囲気。

歌声も所作も荒ぶるところがほとんどなく、「社会的弱者」というか「かわいそう」な感じを醸す。

一方の加藤ラウルは、どこまでも健全健康。

爽やかさが勝るあまり時に「空気の読めない」感じも滲んで、おじさん(怪人)がイラつくだろう要素は十分。

最後に、山本クリスティーヌ。

これは凄い。とにかく歌唱力が圧倒的。

最初の「Think of me」から我知らず涙が溢れてきた。それくらいエモーショナル。

そして、バレエやダンスも美しい。

顔つきに愛嬌を感じさせるところがあり、欧米のクリスティーヌのような「色気」成分は終盤に至るまで少なめだが、原作の設定年齢が16歳であることを考えると、この「幼さ」を残したクリスティーヌは大いにありだと思う。

この3人の掛け合いの楽曲の調和・バランスが素晴らしく、いずれも20年代の四季の柱となる存在になるだろうと思わずにはいられなかった。

あと印象に残ったのは、ムッシュー・レイエを演じた雲田隆弘。

『ライオンキング』のザズーで何度も観た俳優で、声に張りがあって、立ち姿が美しく、色気がある。

以前は、元気な「若手・中堅」のイメージがあったが、すっかり「イケオジ」に。

ミュージカル俳優としていい感じの歳の取り方だと思った。

劇場内では観客は声は出せないが、劇中そしてカーテンコールで盛大な拍手を送ることで、感動を伝えることができた。

カーテンコールとか何回あったか忘れるくらい多かったけど、最後はスタンディングオベーション

ミュージカルは生に限るし、オケも生に限る(一部は音源の被せもあったかもだけど)。



当初の計画とは違って、この厳しいコロナの時代にこけら落としを向けた劇団四季の四季劇場「春」「秋」。


自分はすでに四季の会の会員だが、これだけの感動を与えてくれる今の四季をもっと応援していきたいと思わずにはいられなかった。

ということで、来週の日曜日の公演のチケットも取った。

今東京で観られる『オペラ座の怪人』。

観に行かない手はないね。

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(パンフレットも表紙が豪華になっていた。一般2000円、会員1800円)