大人になってく私を〜 Task have Fun 全国ツアー 2019 〜Anytime Tasks〜 in 中野サンプラザホール

大人になってく私をあなたはどう思うかな
こうやってずっとそれでもずっと
一緒に居られるのかな
(Task have Fun「マーブル色の気持ち」)

かつてプリティグッド!という超絶美少女アイドルグループがあった。

6人のメンバーが全員美形でスタイルが良いという奇跡のようなグループ。

そこに熊澤風花がいた。

彼女はグループ最年少で、まだ「ティーン」にもならない年齢だった。でも、「幼さ」を感じさせるというよりは、「大人っぽさ」を感じさせた。

僕が初めてプリティグッド!を見たのは、池袋の某CDショップで、ステージは6人のメンバーも持て余すくらいに小さく、マイクも有線が3本のみでそれを6人のメンバーがリレーするという環境。

コードが絡むことを避けてフォーメーションダンスもできない、というハードな状況。

言葉を選ばずに言えば「美少女の無駄遣い」という印象を持った。

「もっと広いステージなら」「マイクを気にせずダンスできる環境なら」「もう少し人数が少ないなら」と・・・

あれから時が流れ、プリティグッド!はメンバーの卒業を経て結局解散。

熊澤風花は、Task have Funの3人の中の一人として活動を続け、そして、今日ツアーファイナルの中野サンプラザのステージに立った。

アイドルブーム華やかなりし2010年代前半。

「目指せ武道館」が標語となり、多くのライブアイドル日本武道館でのワンマンを目指した。

だが、10年代後半になると、いわゆるメジャーでないアイドルが武道館に辿り着くのは相当に難しいという現実に直面する。

今や、中野サンプラザのステージに立つのも容易ではない時代。

Task have Funのメンバーが結成から3年半でサンプラザでのワンマンを敢行するというのは、多くのライブアイドルやアイドルファンにとっては「希望の星」とも言えるだろう。


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いつものTaskのワンマンは、舞台装置の仕掛けで驚かせるというというよりは、メンバーのパフォーマンスで魅せるという「中身で勝負」というストロングスタイル。

だが、今日は違った。

ステージには2段のセットが組まれ、しかも一段目は「熊」「白」「里」というメンバーの名前が書かれた扉まで付いている。

おなじみのOPSEが始まってもメンバーは登場せず、正面のスクリーンにメンバーの映像が映し出されるのみ。

期待が最高潮に達したところで、デビュー曲「TASK」のイントロが始まると、それぞれの扉からメンバーが飛び出してくる。

凄い。

ステージ後方横に火柱、ステージ手前にスモークの柱と、Task史上最高に手の込んだ演出。

これだよこれ。

中野サンプラザという大舞台に負けないだけの豪華装置、豪華演出。

そして、メンバーの大きなパフォーマンスと、客席のコール。

こういうTaskが見たかった。

熊澤風花がアイドル人生6年で到達した晴れ舞台。

ヘッドセットで「マイクを持つ」動作から解放され、両手両足をフルに使って踊るパフォーマンス。

ステージの2階も使い、「ラブグリッター」「部屋の中の天使」「インダ ビュリフォデイ」とライブは最初からハイテンション。

「幻想セレナーデ」では、照明も妖しい雰囲気を醸し出し、セクシーさと情熱がいつもよりも強調される。

いい・・・・

「D-A-S-H!!~イケナイコトカシラ?」「全開!Teenage Riot!!」「「キメ」はRock You!」と、ロック色の強いナンバーで盛り上がったところで、企画コーナーへ。

次に歌う曲はメンバーソロ曲だが、まだ決まっていないということで、音量測定器を用意してファンの声の大きさで決めるということに。

お手本のような白岡今日花の「きょうかー」が101dB、かわいさを前面に出した熊澤風花の「ふーかー」が103dB。

そして最後は里仲菜月。

ソロ曲「僕はマグネット」の紹介を始める彼女は「磁石ってSとMがあるじゃないですか」という天然ボケをいきなりかませて会場を爆笑の渦で包む。

「里仲のS、菜月のN。SとNだから磁石なんですよ」と言い直してからの「なつきー」は脅威の105dB。

天才。

ちなみに、僕はこの「僕はマグネット」が大好きなので、ここで叫んだ中の一人。

大きなステージの2階でソロで歌って踊るサトナカ最高だった。

初披露の時からすると100倍くらい進化していて「これよこれ」と思わずにはいられなかった。




ここからはライブ後半。



新衣装に着替える、ということで、最近のライブアイドルの定番なら「メンバー退場→前撮りした映像がスクリーンに→新衣装で登場」となるが、そこは一筋縄ではいかないTask。

なんとステージ上での早着替えということで、ダンボール箱、消火器、等身大タオルなどをスタッフが順番に持ってくるという茶番の後、なんと、ステージのドアの中に入り、そこから顔だけの見える小窓を開けたところで、早着替え。

昔のテレビのバラエティ番組みたいなノリだった。

5分くらい、マイクからメンバー同士を掛け合いが続いたり、客席に手を降ったりする時間が続いて、新衣装のメンバーが登場。

眩しい。

純白。

アイドルはこうでないと。

コーディネートはこうでないと。

ということで、王道アイドル感満載の衣装で、新曲を初披露。


新曲は前作「逆光」にも通じるメロディアスなもので、言わずともわかる「すみだしんや」節。

今年解散したつりビットの不朽の名曲「真夏の天体観測」にも通じる世界観。

僕は最近のTaskの楽曲派路線を本当に歓迎していて、この新曲もいきなり好きになった。


新曲のタイトルは、チケット番号の抽選で選ばれた会場のファンが決めるということで「星フルWISH」になった。

僕が選ばれていても「星フルWISH」にしただろうというくらい言葉のリズム感がいいし、漢字+カタカナ+英語という言葉の並びもおしゃれ。

「星フルWISH」、これから広まっていってほしいなと思う。

ここからは「じっくり聴かせるTask」へ。

ステージ上からミラーボールが降りてきて、ホール中にキラキラとした光を放つ演出の「彗星のステージ」。

すみだしんやによるミドルバラード「逆光」。

そして、「大人になる不安」を歌った「マーブル色の気持ち」。

大人になってく私をあなたはどう思うかな
こうやってずっとそれでもずっと
一緒に居られるのかな
(Task have Fun「マーブル色の気持ち」)

2階ステージで落ちサビを歌う熊澤風花のボーカルに涙した。

彼女は歌唱力でグイグイ勝負するタイプのアイドルではないけれども、この日は、自分の想いと楽曲のメッセージが完全にシンクロしたのだろう。

終わってからしばらく拍手が鳴り止まない。

大人になってく君もいいものだ…

そんな圧巻のステージだった。




そしていよいよライブは終盤へ。


「けどハニカミ」のイントロでメンバーが曲を止めるお馴染みの茶番が来てニヤニヤしていると、3度目にはなんと正面スクリーンにサングラスの社長が登場。

先日の渋谷でのオープンカーの「パレード」での運転でも強烈な存在感を放っていたが、今日も怪しい業界人感たっぷりで「テーブルクロス引きを成功させないと歌わせない」という謎のTaskを課した。

最年長・白岡の失敗の後を継いだ最年少・里仲が見事テーブルクロス引きを成功させると、ここからラストスパートの号砲。

「けどハニカミ」、「ギュッと、チュッと」、「キミなんだから」と、振りコピとコールの嵐。

客席の僕も隣の人と肩を組んだりして。

いやいつ以来だろう、こんなに熱いライブは。

そして最後、待ちに待ったアンセム「3WD」だが、曲紹介では「78WD」。


なんのこと?と思っていると、舞台袖から続々とキッズダンサーが登場。

その数75名。

メンバーと合わせて78WD。

今や「3WD」はライブアイドルファンの間ではすっかりアンセムになったけれども、この先、より広い支持を得て広がっていく予感を感じた。


アンコールでは、いくつかの重大発表が。

まず12月1日に公式ファンクラブがスタート、来年3月から春の全国ツアーが開催されること、ツアーファイナルは5月1日に全曲バンドで東京・TSUTAYA O-EASTで行われること。

Taskのロック調の楽曲は、生バンドとの親和性が高いと思っていたので、いよいよ来たかという感じ。

これは行きたい。

白岡の「Taskはどんどん大きくなっていくけれども、これからもそばで応援してほしい」というMCに続いて、「いつだって君のそばで」と「キミなんだから」。

ここでまた75人のキッズダンサーが登場して、キレッキレのダンスでライブに華を添える。


最後の挨拶では、里仲が「この1年間つらいことのほうが多くて、体調的に追い付かなくなってしまったことがあった。二人には感謝している」と涙を隠さずに語ると、熊澤ももらい泣きしながら「最初はビジネスパートナーだったけれども、話す機会がどんどん増えた。二人とも本当に真面目で、Taskをどうしたいか、どうなりたいかを考えていて、この先も自分たちらしくいようと話した。アイドルをやるならずっと2人と一緒がいい」と話した。

白岡が「アイドルに向いていない私がここまでやって来たのもこの3人だから。2人になってもやらないし、4人になってもやらない。それぞれが悩んだ一年だったけれども、私はずっとこの3人で続けたい」とまとめる。

そして「TASK」へ。

「全員中学生」としてデビューしたTask have Funも、今年メンバーが全員高校生となった。

それぞれが「大人になっていく」道を真剣に考える中で、悩むことがないわけがない。

そんな貴重な時間をこのTask have Funに費やしていることは本当に尊いと思う。

子どもと大人が混じり合ったような「マーブル色」の彼女たちをこの先も見守って、応援して行きたいと思う。


おまけ。

終演後には無料ハイタッチ会があって、全員に感想を伝えることができた。

無料が申し訳ないので、ガチャ回したよ。

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里仲さんダブったけど、次の日に里仲大好きアイドルの某SSさんにプレゼント。

うん、Taskは確かに「希望」になってる。若いアイドルにとっても。


(セットリスト)

1 TASK
2 ラブグリッター
3 部屋の中の天使
4 インダ ビュリフォデイ
5 幻想セレナーデ
6 D-A-S-H!!~イケナイコトカシラ?
7 全開!Teenage Riot!!
8 「キメ」はRock You!
9 僕はマグネット
10 星フルWISH(初披露)
11 彗星のステージ
12 逆光
13 マーブル色の気持ち
14 けどハニカミ
15 ギュッと、チュッと
16 キミなんだから
17 78WD(3WD)
<アンコール>
en1 いつだって君のそばで
en2 キミなんだから
en3 TASK