アーティストへの道ー東京女子流「TGS Acoustic vol.1」

東京女子流が「アーティスト宣言」を行って以降初のライブを見に、AKIBAカルチャーズ劇場に行ってきた。

(女子流のアーティスト宣言自体は、こちらのテキスト起こしをご参照→東京女子流アーティスト宣言(素人テープ起こし)|カピバラ日和)

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この日は「TGS Acoustic」と銘打たれたライブの第一回。

ギター一本のみの伴奏で女子流が歌を聴かせるというもの。

体調不良の中江友梨を除く4名の女子流メンバーに続き、ギタリストの福原将宜が登場。福原は「福ちゃん」の愛称で紹介されたが、コブクロのレコーディングや、ゴスペラーズのバックも務めるベテラン。

Love like candy floss」で幕を開けた演奏は、エモーショナルなギターとパワフルなボーカル・コーラスの相乗効果で、胸に迫ってくる。

バラードの「追憶」に続き、ZONEの「僕の手紙」のカバーを聴かせたところで福原がギターとともに一旦退場。

ここで、アカペラで「Say long goodbye」を初披露。中江を欠いた状態で、冒頭の「My Love」のファルセットパートもなかったし、ハーモニーも完全版ではなかったのかと思うが、歌で勝負していくという意気込みを強く感じさせた。

会場からの拍手喝采に続き、福原がステージに戻ってくる。

再びギターの伴奏が加わり「月とサヨウナラ」を。2013年の武道館や、2014年の渋谷公会堂のライブではチェアダンスによるセクシーな演出が印象的な楽曲だが、今日は完全にダンスを封印して聴かせる。ボーカルだけでも、艶っぽい雰囲気が館内に広がっていた。

次は、年末の渋谷公会堂で「これからの女子流はこういう曲を」と言っていた「Partition Love」を。四つ打ちのリズムがなくても、哀愁の漂うエレキギターの音色がなくても、アコースティックギターとボーカルだけで、この楽曲の切ない世界観が十分に伝わってきた。

終盤は「ふたりきり」そしてデビュー曲の「キラリ☆」。

女子流が歩もうとしているアーティスト路線は決して容易ではない。それは容易だからという理由で選ばれたわけではないから当然だろう。

だが、「キラリ☆」の歌詞「物語はここから始まる」という言葉を噛みしめるように歌うメンバーの表情からは、志を高く持ってこの路線を歩いていく強い決意が読み取れた。

終演後は「ファイナル握手会」。女子流もCDプロモーションのために握手会を行ってきたが、路線変更に伴い、それももうファイナル。

僕はメンバーに声をかけるために参加してきた。


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小西、山邊、新井、庄司の順に、今日の感想とともに、「アーティスト女子流」を支持し、今後に期待していることを伝える。

メンバーの中で「アーティスト」という言葉に一番反応が良かったのが山邊未夢。目を輝かせながら「超期待してください!」と声を弾ませていた。ここまでテンションの高い反応をべーやまさんからもらった記憶はあまりない。

3/11発売のニューシングルでは、彼女はメンバーで初めて作詞を手がけた。詳しくは言えないものの、自分の想いもしっかりとこめられたそうで、今後の情報解禁が楽しみなところ。

今回の女子流/佐竹氏による「アーティスト宣言」には、言葉尻だけを捉えるような反応も多かったが、僕の理解では狙いは以下の通りだと思う。

すなわち、まずは本人達に「パフォーマンスを磨く」という意識を徹底的に植え込み「アイドルだから」という言い訳・逃げ場をなくすとともに、ファンには決して騙し討ち的に置いてけぼりにせず、(フェス主催者を含む)関係者に対しては説明責任を果たし、最後に世間に話題を提供し注目を集めることだったろうと。

女子流のアーティストへの道程は始まったばかりだが、ギター一本のアコースティックライブ(後半は形態が変わるらしい)を隔週で行うとか、アイドルではなくバンドとの対バンを月次定例で行うとか、目指す方向に向けた手は確実に打っている。

成功するかどうかはもちろんまだ分からないが、アイドル界で築いたポジションを投げ打っての女子流の挑戦を支持し、見守っていきたいと思う。