そのとき思ってしまったんだ―『あの花』第10話

神回。最終回直前のQuickEndingとしての神回。以下ネタバレ。
めんまの成仏に向けて、さまざまな人たちの想いが収束していく―じんたんを除いて。
さあ、いよいよだ。
花火の導火線に火が近付いていく。
その瞬間、じんたんが耐え切れずに声を上げる。「待っ…」
だが、その声をかき消すように、導火線の上を炎が走り始める。
もう戻れない。ここでEDテーマ『secret base』。

花火が宙を舞い上がり、頂点に達したところで爆発。
色とりどりの花が夕暮れの空を彩る。

ここでEnding。のはずなのに。
めんまは成仏しない。
じんたんが彼女への想いを残したからだろう。

めんま、ごめん。
そのとき、思ってしまったんだ。
消えなくて、よかったって。

ここまでオリジナルストーリーを盛り上げた監督の長井龍雪の手腕は本当に見事としかいいようがない。そして、あちこちにちりばめられた内省的な台詞の数々は脚本家としての岡田磨里の真骨頂(二つのマリー―『あの花』と『花いろ』 - Sharpのアンシャープ日記)。「泣きゲー」的にストーリーの切なく感じさせるREMEDIOSの音楽も素晴らしい。だが、この現実離れした物語に感情移入してしまう最大の要因は、じんたんを演じる入野自由のモノローグの演技力だろう。

さあ、次回は最終回。TrueEnding。僕らも、過去への想いを断ち切って前に進むことができるようになるのだろうか。