謎解きというよりもファンタジー〜『パプリカ』

先月急逝した今敏監督作品『パプリカ』を観た。以下軽くネタバレ。

パプリカ [Blu-ray]

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「他人と夢を共有する機械が発明され、それを悪用して他人の夢に強制的に入り込み、夢を見るとの精神を操る…」という設定から『インセプション』の元ネタかと思われがちであるが、実際に見てみるとそれほど似ているところの少ない映画だった。ホテルの長い廊下での立ち回りのシーンはちょっとデジャヴな感じだったれども、アニメの『攻殻機動隊』が『マトリックス』に与えたような強い影響まではないと言える。

原作は筒井康隆で現代〜近未来の日本が舞台となっているのだが、映像・演出的には、ジブリアニメのような超時代的で無国籍な感じがある。そして夢の世界は、不合理かつ主観的で、どことなく「彼岸」のような雰囲気もあった。結果的に、日常に潜む恐ろしさみたいなものを強く感じさせる世界観で、アニメならではの表現だった。

ヒロインとなるパプリカが魅力的なこともあり、総じて、謎解きというよりも、ファンタジーでいう感じで、幻想的な作品。蛇足ながら、Blu-rayの日本盤は実売4,500円なのに、UK盤は1,000円と格安。