『けいおん!』を超えられなかった『けいおん!!』

ついに『けいおん!!』が最終回を迎えた。卒業する4人を送り出すというシチュエーションは、僕のようなあずにゃん派にとっては、泣かせる展開…のはずだった。

しかし、あずにゃんやさわちゃん先生との別れも含めて、なんとも表面的で、予定調和な感じがぬぐえない。なんだろう、この違和感は。答を求めてあちこちのブログを巡回する。絶賛の嵐。嵐。嵐。けいおん!万歳!、京アニ最高!みたいな。え、本当に? 

なんだろう、この違和感の正体は。答は自分で見つけるしかないということで、ちょっと考えてみる。僕にとっては、唯の成長を見届けることができなかったというのが、違和感の源泉なのかもしれない。その点では、澪も律もムギも成長していない。いや成長なんかしないユルさこそが『けいおん!!』なんだという反論もあるだろう。それなら、と僕は自問する。成長しないのなら、卒業に何の意味があるのだろうか。成長なき卒業は、単なるイベントとしての卒業式ではないか。これで感動なんかできるのだろうか。なんというか、型にはめたような押し付けがましい演出という印象の方が僕には強く残った。「お涙頂戴」的なエンディングこそが僕をしらけさせた正体なんじゃないかと。

結局、この4人は放課後に部室でお茶を飲んでいるばかりだった。文字通りの放課後ティータイム。しかし、たいした練習もしないのになぜかライブは成功し、たいした勉強もしていないのに揃って同じ大学に合格する。それも、高校卒業後の進路について、特に大きな葛藤もなかったかのように。

思うに、一期の『けいおん!』の最終回は感動的だった。唯が過去を振り返る中で、不安や期待を乗り越えて自分の生きる場所を見つけ、それを肯定することで自らの成長を実感する場面があった。こんな風に。

そういえば
入学式の時もこの道を走った
何かしなきゃって思いながら
何をすればいいんだろうって思いながら
このまま大人になっちゃうのかなって思いながら

ねえねえ あたし
あの頃のあたし
心配しなくていいよ
すぐ見つかるから
あたしにも出来ることが
夢中になれることが
大切な 大切な 大切な場所が

…台詞を読むだけであの場面が思い出せて泣けてくる。このシーンゆえに、『けいおん!』は決定的な傑作となった。僕にとって。

さて、今回『けいおん!!』で高校を卒業した唯は、「何かしなきゃ」っていう焦燥を感じているんだろうか。「何をすればいいんだろう」とか「このまま大人になっちゃうのかな」なんていう不安はないのか。『けいおん!!』の最終回では何も示されなかった。それよりも何よりも「夢中になれること」や「大切な場所」は見つかるのだろうか。何かを目指して、一生懸命になれるのだろうか。

大学に行っても4人で部室に集まって練習もせずにお茶ばかり飲んでいる…とは思いたくないが、それ以外の4人の姿が思い浮かばない。それが僕にとっての『けいおん!!』の最終回だった。