世界を選ぶか君を選ぶか―『沙耶の唄』

鬱ゲとして評価の高い『沙耶の唄』をプレイした。ニトロプラスの、いや、虚淵玄の代表作。値段もこの手のゲームにしては安く、プレイ時間も5時間程度、そしてエンディングも3通りと非常にシンプル。

沙耶の唄

沙耶の唄

ストーリーをWikipediaを参考にしながら書くと、自分以外は全てが異常で本当に狂いそうになる世界の中で、主人公の前に沙耶という謎の少女が現れる。沙耶だけはなぜか普通の人間に見え、おぞましい姿や声を持つ友人たちと違い、触れたときに温かみを感じることもできた。しかし、それは真に訪れる狂気の世界への扉にしか過ぎなかった…

世界からの隔絶間、周囲への不信感、そして救世主のように見える存在。自分は何を信じて、どこに向かえばいいのか。世界と君が対立しているときに、どちらの味方になるべきなのか。その結果、僕は何を得て、何を失うのだろうか。

エロやグロのフレーバーを全て取り除いたとしても、この作品の投げかける問題は重い。そして、3つのエンディングを全て体験すると、いま自分がどこに立っているのか分からなくなる。この世界に自分がいるというのはどういう意味があるのか、と。やはりニトロプラスは危険だ。興味半分で近付くにしてもそれなりの覚悟がいる。