交わした約束忘れないよ〜『魔法少女まどか☆マギカ』最終回予想

魔法少女まどか☆マギカ』も9話まで終わっていよいよ佳境に入ってきた。願いを叶えるのと引き換えに魂を失うとか、魔法少女はやがて魔女になるとか、まあそのあたりまでは想定の範囲内。虚淵玄が脚本であるという時点で、これは最初から鬱展開が約束されているのだ。登場人物のほぼ全員が死ぬのが虚淵ワールドではないか。では、キュゥべえの正体は何で彼らの狙いは何か。

個人的な予想だが、虚淵玄がシナリオを担当したニトロプラスの『沙耶の唄』の世界観が一番近いのではないかと思う。つまり、この宇宙の中では地球や人類はちっぽけな存在にすぎない。人間はこの世界に固執しているはが、宇宙では空間はもっと広く、時間はずっと長いのだ。だから、そこから解脱することで、可能性を広げることができる。これがキュゥべえの論理だ。

では、まどかやほむらはキュゥべえの論理に屈するのか。つまり、この世界で死ぬことになるのか。答はたぶんNO。まどかには凄いポテンシャルがあるが、それが悪用されなければ、この世界が終わることはない。そして、彼女には、時間操作の能力を持つほむらが付いている。ほむらの能力とまどかのポテンシャルが合わされば、キュゥべえが誘うような「解脱」には進まず、いまのままでとどまることができるのだろう。それが幸か不幸かはわからないにしても。死んだからバッドエンド、生き残ったからグッド・エンドとは思わないけれども。

これも想像だが、まどか☆マギカの世界は「ひぐらし的時間」をループしているのではないかと思う。「仮面ライダー龍騎的時間」と言ってもよい。このループはほむらが起こしているのだろう。以前のループでは、まどかとほむらこそ親友だった。だからこそ、ほむらはあそこまで必死にまどかを守るのだ。もちろん、世界の破滅を防ぐという大義もあるが、「交わした約束忘れないよ」というのが、ほむらの戦う理由。そして、実はほむらこそこの物語の正ヒロイン。『仮面ライダー龍騎』の正ヒーローが仮面ライダーナイトであったように。「まどか☆マギカ」というタイトルは視聴者へのミスディレクションなのだ。

終盤でまどかはほむらのとの「前世」を思い出す。どちらかが瀕死になった状況で。そこで二人の思いが通じ、まどかはこの世界を守るためにこそ、自分の能力を使うことを決意する。魔法少女になるのではなく。その決意により、ループする時間は終わり、キュゥべえの野望も砕かれる。彼女たちは、平凡な日常を守るという選択肢を取るのだ。自分の願いは叶わないかもしれない。だが、それでいいと二人は思う。

ループからの脱出で時間が遡り、マミさんも、さやかも、杏子も生き返る。もちろん戦いの記憶などなく。この戦いに勝者はいない。いや、最初から「勝つ」ことなど必要なかったのだ。「願いを叶える」ことなど望んではいけなかったのだ。脱出後、まどかとほむらの二人の記憶も完全に消える。何事もなかったかのように。彼女たちはカフェですれ違う。お互いに何かを感じながらも言葉を交わすことはなく―というようなラストを予想。