『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』

観てきた。ネタバレなど気にせずに書く。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 公式サイト

これは決してリメイクなんかじゃない。圧倒的な映像・演出。10年前の技術や予算や時間の制約で出来なかったことを庵野監督はやりたいのだろう。今回の「序」の最大のヤマ場は対ラミエル戦の「ヤシマ作戦」だ。どういう作戦なのか分かっているのにも関わらず、手に汗を握ってしまった。

巨大な怪物、いや使徒が街や自然を破壊する場面で、不気味なまでの力を見せ付けるところ、そして主人公がそれに立ち向かって困難を乗り越えて勝利を得るところ。やっぱり庵野監督はウルトラマンが好きなんだと。

各キャラクターについては、何と書いていいものやら。シンジは悩みながらもエヴァに乗る。あるいは、エヴァに乗りながらも悩む、というべきか。この点は従来と一見変わらないが、本作では葛藤の末にエヴァのパイロットでいようと覚悟を決めたように見える。

次いでレイ。感情の乏しい人形っぷりは健在だが、絵が美しくなってはっとする場面が目立った。「私が守るもの…」のシーンは決して目をそらしてはならない。

ミサトとリツコもそれぞれ「大人の女」としてきちんと描かれている。二人とも職業意識の強さが感じられていい。個人的にリツコは苦手なのだが、短時間に多くの要素を詰め込んだ本作では、狂言回し的な役を担っていた。

で、最後に登場する渚カヲル。シンジに会うのが楽しみだと言って、この物語が何度目かのループにあることを仄めかして「続く」。ああ、ここで終わるのか。最後の場面で次の展開の重要人物を登場させるところは、浦沢直樹の「PLUTO」の手法を取り入れているのかもしれないな。

エンディングテーマを挟んでの次回予告。これはお約束の「サービス、サービス」(by 葛城ミサト)。ようやくアスカ出てくるのに、カヲルと新キャラのせいで影が薄くなりそうな悪寒。エヴァも六号機まで出るらしいし。しかし、新キャラ、眼鏡女子って、どこまでヲタに媚びてんだよ(顔は「委員長」にも似ているが、まさかトウジの敵討ちで参戦とかないよね)。新キャラが委員長でないという前提で、その役回りを予想すると「シンジにベタベタして、アスカのツンデレっぷりを引き出す」んだろうな。綾波は恋愛感情ないし、カヲルにその役を担わせると「それってなんて同人誌?」になってしまうので…

いずれにしても、新しい展開になるという次の作品が待ち遠しい。

一つ。宇多田ヒカルのエンディングテーマは完全にミスマッチ。もう少しエヴァの余韻に浸りたかったなあ。次は歌手は誰でもいいから「Fly me to the moon」で締めて欲しい。