そもそも忍者しかいない「里」とは一体何なのかという世界設定の根本は問わない。しかし、尾獣を集めて強大な力を生み出そうとしている「暁」はそれを使って何がしたいのかとか、その「暁」に敵対しつつも、「木の葉崩し」を狙う大蛇丸の最終目的は何なのかとかまったく分からない。
その中で「サスケを取り戻す」という動機だけで、ナルトとサクラを動かし続けているのは無理がある。「暁」の元から救い出した「盟友」であり、いまや風影でもある我愛羅と「打倒暁!」あるいは「大蛇丸追撃!」などで共闘しない理由もよく分からない。
こうした大局観の欠如でドラマの推進力が落ちて人気が低迷していく中で、34巻ではかつての主人公のライバルであるサスケを登場させてきた。しかし、サスケは外見的に「美少年」でなくなっているだけでなく、人間性も堕落しているようにしか見えなかった。これでは、逆効果だと思う。
- 作者: 岸本斉史
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/08/04
- メディア: コミック
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イタチと大蛇丸のいずれかがラスボスとなるのだと思うが、NARUTO一派(あるいは木の葉の里)との三すくみで奇妙な停滞の様相を呈している。ジャンプシステムのトーナメント方式に則れなどと主張するつもりはないが、いずれにしても方向性を示してほしい。その際に、表紙にあるような他の人物もきちんと登場させて活躍する機会を与えることを希望。ヒナタなんかこんなにいい女になっているのに!