アカデミー賞にノミネートされていた宮崎駿監督の「ハウルの動く城」が受賞を逃した。
第78回アカデミー賞の授賞式が5日(日本時間6日)、米ハリウッドのコダック劇場で行われた。長編アニメーション部門では「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」(ニック・パーク、スティーブ・ボックス両監督)が選ばれ、宮崎駿監督の「ハウルの動く城」は受賞を逃した。
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「ハウル…」自体の内容は措くとして、劇場に足を運んだ観客の評価を計るバロメータである興行収入を比べてみる。「ウォレスとグルミット…」が184百万ドル、「ハウル…」が3百万ドル。つまり、ハウルの観客動員力は、受賞作品のわずか60分の1に過ぎなかった。これは圧倒的な差だ。「圧倒的じゃないか、わが軍は」とパークとボックスの両名がほくそえんでいたかどうかは知らないが、商業的にはもう最初から勝負になっていない。
「興行的には差がついているが、内容的には互角の戦い」などという下馬評がいかに「大本営発表」であったかが分かる(そもそも「ハウル…」の評価されるべき内容って何だろうという根本的な疑問があるけど…)。
賞を逃してもなお「ノミネートされたこと自体が、日本のアニメが世界で評価されている証拠だ」などと言うおめでたい人もいるかもしれないが、そろそろお寒い現実に目を向けるべきではないだろうか。
大塚英志は、昨年出版した著書の中でこう言っている。
まんがやアニメに日本経済や日本文化を託すほどにバブル崩壊後の日本は経済的にも精神的にも追いつめられてきただけの話であって、経済が今少し上向きになれば「萌え市場」がどこかのシンクタンクの試算と称する数字が八八八億円でしたっけ、「日本経済新聞」読むような人々がそういう数字がつい気になってしまう、そういうみっともない空気もあっさり忘れられて、やっぱり不動産だよね、株だよねという話になるはずです。それはそんなに遠い先のことではないわけで、その意味で「ジャパニメーション」は敗れる以前に忘れ去られる可能性が高い。
慧眼というほかはない。
「ジャパニメーション」はなぜ敗れるか (角川oneテーマ21)
- 作者: 大塚英志,大澤信亮
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