UFJに交渉中止命令

住友信託を袖にして三菱東京FGへ経営統合を申し入れたUFJグループだが、東京地裁が住友信託の訴えを受けて、UFJグループに対して三菱東京FGとの交渉中止の仮処分を決定。

鬼沢裁判長は、例の田中真紀子の長女の記事を掲載した週刊誌の販売を差し止める仮処分を決定した人(高裁では逆転)。交渉中止の仮処分という形で民間の活動に介入することに抵抗を感じない人なのかもしれない。

それにしても、日経新聞は識者の「法律的には妥当な判断」とかいうのんびりしたコメントを載せているが、今回の場合、「経営に不安のあるメガバンクの身売り」というのが本質。緊急性が高く、金融システムへの影響を考慮する必要があるだろう。文章にするのは本来憚られるが、この仮処分が引き金となってUFJグループの「身売り」が遅れて金融システムに影響が生じる可能性もある。この点で事業会社の通常の合併契約と大きく異なる。

地裁の裁判官に「政策的」な視点を期待しても仕方ないが、そうであれば、識者やメディアには、法律論に流されず、問題の本質を正しく解説してもらいたい。いまのUFJには、法律論争のオモチャにされる余裕はないはず。