世界最大級の銀行グループが抱える最大の課題は

1月1日、東京三菱銀行UFJ銀行の合併により、三菱東京UFJ銀行が誕生した。資産規模は世界最大級で、当然のことながら、三井住友やみずほを凌ぐ。

昨年10月に先行統合した持株会社・信託銀行・証券がいずれも「三菱UFJ」となっているのに対して、商業銀行がいまだに「東京」の二文字を捨てられないのは訝しいが、おそらくは英文社名を「Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ」として、グローバルに知名度の高い「BOT」の三文字を残すためなのだろう。

この新銀行の最大の経営課題は、マスコミが喧伝するような「システムの完全統合」などではない。たとえ両行のシステムが並存していたとしても、極論すれば手作業等によってまったく同様のサービスを提供することは不可能ではないからだ。

最大の課題は、合併により重複した業務・拠点・人員をいかにスムーズに調整し、効率化を達成するかという点だろう。単純に人員を削減するというのも一つの答かもしれないが、より高度な見地から、戦略的分野に人員を再配置することの方が望ましいだろう。会社に対して帰属意識が高い行員を活用しない手はないから。

このように論を唱えるのは簡単だが、実際には、経営資源の再配分は容易なことではない。旧行の経営方針の対立、企業文化の相違などが邪魔をして、短時間に一つの方向にまとまることは奇跡とも言える難事業になると思われる。

融和もいい。調整もいい。が、いたずらに時間をかけていては、世界最大級の規模、地域的分散、顧客層の裾野の広がりといった、三菱UFJグループが持つ利点を活かしきれず、大企業病に蝕まれることが目に見えている。

資産規模160兆円という巨艦の舵取りの行方に注目していきたい。