「システム統合成功」という記事がない

みずほFGのシステム統合が大規模なトラブルになって以降、マスコミは大手金融機関のシステムトラブルを重箱の隅をつつくように取り上げてきた。
そんな中、三菱東京UFJ銀行による、旧三菱東京と旧UFJのシステム統合が始まった。事前に予想していた通り、順調に進んでいるのだが「システム統合成功」という記事にはならないところに、マスコミの問題がある。

三菱東京UFJ銀、システム統合なお警戒

三菱東京UFJ銀行は7日、旧UFJ店舗の一部で新システムを稼働させた。障害が起きた5月以来となるシステム統合作業は、ひとまず大きなトラブルなく終了。ただ旧UFJ店舗のシステム移行は12月まで段階的に続く予定で、なお油断できない状況だ。同行は当面、システム統合の進ちょくと、国内外での収益強化策を両にらみした経営が継続する。

7日午前7時、旧UFJの浜松町、麻布など九支店で新システムが稼働した。旧東京三菱の約250店が5月に一斉移行した際に提携先のATMで預金が引き出せなくなるトラブルが発生した経緯もあって、同行は厳戒態勢で臨んだ。トラブルが発生していないか、複数の行員がATMコーナーで警戒する支店もあった。

日本経済新聞

まるでトラブル発生を待ち受けるかのような異常な書きぶり。「警戒」しているのは自分達ではないか。これは日経新聞だが、他紙もほぼ同様。中には記事にさえしなかった新聞もあるだろう。メガバンクのシステム統合について批判するならば「統合まで時間がかかり過ぎる」とか「コストを掛け過ぎで本業でのシナジー効果発揮が遅れる」とか、いろいろと切り込み方はあるだろうに。

まあ水も漏らさぬ完璧主義を銀行側に求めたのは他ならぬマスコミの側なので、「時間がかかり過ぎ」「コストを掛け過ぎ」という取り上げ方には転じられないのだろう。マスメディアに本来求められる役割は、品質とコストのトレードオフを踏まえた上で国民にとって望ましいバランスをどこで取るのかというポイントの提示である。過剰品質を求めてあら探しをすることではないはずだ。