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クラウザーさんと根岸君はどっちが本性なのか―『君は淫らな僕の女王』

書籍 おたく

月は無慈悲な夜の女王』みたいな話かと思って読んでみたら全然違う話だったでござる。むしろ、主人公のメガネ君の願いが人間の力を超えたところで叶うとか、部屋の中のドアを開けるととんでもないところにつながるとか。四次元的な設定。これは、ロバート・A・ハインラインというよりも、藤子不二雄ワールドですな、完全に

ということで、ヤンジャンミラクルジャンプに連載されていた作品の単行本化。原作・岡本倫のキテレツな設定とストーリーが、作画・横槍メンゴのエロカワな絵で動いていく。

本質は、男性の都合のいい願望としか言いようがない世界だが、主人公が草食系で、ヒロインがツンツンなので、うまい具合にバランスが取れているように見える。まあ、でも夢物語だよな。ドラえもんと同じで。

「淫らな僕の女王」が登場するあたりは青年誌らしいエロな雰囲気もあるが、ある仕掛けによってエスカレートすることがないのが物足りないといえば物足りない。エロとギャグのバランスにどこか不安定なところがあるが、むしろそれがこの作品の持ち味かもしれない。矢吹ネ申の『To LOVEる』の予定調和とは違った見せ方、というか。その落差の無茶苦茶なところを楽しむ作品かと思う。

ということで、自分にとっては、この作品のテイストは『デトロイト・メタル・シティ』と似ているもののように感じられる。ということは、「女王」は、クラウザーさんなのか。いや、むしろ、根岸君の方なのか。

いずれにしても、この辺が、青年誌の枠、というか、集英社の良識なのかもしれない。かりに『快楽天』あたりの掲載であれば、同じ設定で、同じエンディングでも、ぐっとギャグの比率が小さくなっていたのではないかと想像される。

ただ、草食化の進む男子が自分で買いたくなる作品とはどういうものかという問いに対して、青年誌掲載作品としてひとつの答を示しているように思われる。

ところで、隠語を連発して「SATSUGAIせよ!」と叫ぶクラウザーさんと、クネクネと渋谷系を歌う根岸君では、どっちが自制心を失っている姿なんだったっけ。

君は淫らな僕の女王 (ヤングジャンプコミックス)

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