あまり好きなタイプの映画ではないと思って敬遠してきたけれども、たまにこの映画のことを参照して文章書いている人を見るので、暇つぶしに観てみた。
『マイ・インターン』の「マイ」はいらないよな(というか英語として不自然)と思いながら観始めたが、見終えるころにはあえて「マイ」付けたのかもと思えた。
それくらい、主人公の女性起業家(アン・ハサウェイ)にとって、70歳の再就職インターン(ロバート・デ・二―ロ)は、必要不可欠な友人になっていた。
最近は日本でも、表現に制約をかける「ポリコレ」がはびこっているが、その中でも取り残されがちな「おじさん」にしっかりと焦点を当てている作品。
職業人として会社員人生をまっとうし、妻には先立たれ、子供も独立して家庭をもった70歳の男性。
「社会にどんな居場所があるだろう」と考えて飛び込んだEコマースの企業で、自分の居場所を見つけるどころか、同僚や部下の力になり、好かれ、そして社長にとってかけがえのない人になっていく。
その上に、素敵な異性とも出会えるというのだから、これはある意味でおじさん(いやおじいさん)にとっての夢物語。
もし今の日本でこの映画のような作品が世に出てきたら、「おじさんにとって都合の良すぎる作品」という批判が出たかもしれない。
女性にとって都合の良すぎる作品はたくさんあって批判もされないのに、なぜかおじさんにとって都合の良すぎるものは糾弾される風潮がある。
アメリカだとそういう風潮が薄いのか、大統領選からして2024年にはおじいさんvsおじいさんになっているから、そういうものなのか(この作品は9年前のものだけれども)。
まあ、しかし、デニーロの演じる70歳の男性は、デジタルに弱くフェイスブックもやっていないものの、スーツをかっこよく着こなし、車の運転も上手で、仕事もできて、素敵な家に一人暮らしで、紳士の中の紳士。
「誰もがこんな風になれるわけじゃない、勘違いするな」というネガティブな反応をするよりは、「みんなこんな風になれたらいいね」とポジティブに受け止めるようにしよう。
自分はどう転んでも無理だろうけど(笑)