音楽座ミュージカルで評価の高かった『リトルプリンス』。
今回、シアタークリエで上演されるということでこの機会に観にいくことにした。
主演のプリンスは、ダブルキャストだったが、劇団ハーベスト時代に魅せられた加藤梨里香の回を選択。
物語は、子どものころに読んで「ファンタジー」と感じた作品だったが、大人になったいま、これは示唆的な「寓話」としてむしろ大人にこそ楽しめる作品だと気付かされた。
飛行士とキツネの二役を演じる井上芳雄の歌と演技が素晴らしい。
特にキツネの方は、歌舞伎の『義経千本桜』の源九郎狐をも思わせる「人間と動物の交流」を身体中で表現する演技で、微笑ましいことこの上ない。
そして、主演の加藤梨里香は期待以上のハマり役。劇団ハーベスト活動休止以来久し振りに観覧したが、凄いミュージカル女優になっていた。プリンスの持つ純粋さが溢れていて、少年のような歌と演技に、何か尊いものに触れるような思いがした。
ヘビの大野幸人の身体の動きとか台詞回しの妖しさは人間離れしていて驚かされっぱなしだったし、花を演じた花總まりの美しさと気高さもいかにも「花」という感じだった。
今年は観劇の機会を増やしていきたいと思わずにはいられなかった。