フィクションとノンフィクションの間〜『タイトル、拒絶』(2020年、山田佳奈監督)

劇団□字ックを主宰する山田佳奈が、2013年から公演している『タイトル、拒絶』を自ら監督となって映画化した作品。

f:id:SHARP:20210221131658j:plain

伊藤沙莉がメインで出ているということで今回見に行ってきた。

lifeuntitled.info


都内(鶯谷あたり?)を舞台にした派遣型のセックスワーカー業界をめぐる人間ドラマ。

キラキラした物語とは真逆にあるようなリアルな東京アンダーグラウンドの世界だが、変に美化されたり、逆にセンセーショナルに描かれることのない感じで、ある意味でずっとヒリヒリと痛々しかった。

感情をこめまくった長めの台詞回しも、時間を重ねていくにつれて、人間関係がどんどん詰んで行って爆発を誘う感じも、まさに小劇場のノリがそのままでミニシアターに持ち込まれたような生々しさ。

伊藤沙莉の冒頭の独白が、物語の中の一人物であるだけでなく、鑑賞者に直接語りかける語り部にもなってて、フィクションとノンフィクションの境目を曖昧にするトリッキーなもの。フィクションとノンフィクションの間を取っ払うような効果的なもので、彼女の凄まじい演技力のおかげで、リアリティが一気に高まった。

あと役者では、現場を任させているがどうしようもないクズな店長を演じた般若も「本物」感があった。