『首切り王子と愚かな女』@ PARCO劇場

『首切り王子と愚かな女』を観にPARCO劇場へ足を運んだ。

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「大人のダークファンタジー」と言われていて、自分の苦手な不条理劇だったらどうしようと思ったが、そうではなかった。

全体としては「悲劇的な寓話」というべきものだが、登場人物に「救い」もあり、「生きる」ことを考えさせられる含蓄に富んだ<物語>だった。

あらゆる装飾をとっぱらったかのようなシンプルな舞台装置だが、それゆえに余計なものを感じさせず、情景が目に浮かんでくるようだった。

これは、照明の巧みさで奥行きと広がりを感じることができたのと、シーンに合わせたきめ細かい音響のおかげで世界に没入できたのが大きい。

また、重要な場面では舞台装置自体がダイナミックに使われていて、物語のスピード感を加速していた。


今回、「生で伊藤沙莉を観たい」という去年からの念願をついに叶えた。

実物を見ても、伊藤沙莉は本当にかわいいし、声の個性も際立っているし、何よりもセリフの間とテンポが天才的。

その辺の才能は映画やTVドラマやCMでも窺い知れるが、生の舞台で見ると実感させられる芝居勘の凄さ。

大柄な俳優陣に囲まれている中で、あの小柄な体格さえも、舞台で個性を際立たせる武器になっている気がする。

あとは、主演の井上芳雄の立ち姿の麗しさ、歌の巧さ、そして時に醸し出すコミカルな雰囲気も良かった。

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パンフレットと伊藤沙莉の本を購入。

これ写真集としても良いけど、エッセーが最高にいい。