新しい日々に 私を見つけよう
春色の空が 綺麗に染まる頃
そのままの君が 一番素敵だよ
今日も明日も あなたに言われたい
アイドリング!!!「春色の空」
「新進気鋭 新しい風吹かせます」というキャッチフレーズを自己紹介にしてきたハコイリ♡ムスメの阿部かれん。
ハコムス初の「新メンバー」として新しい風を吹かせ続けて三年半。先週は大型台風まで呼んでしまって、卒業公演が一週間延期に。
ということで、「一週間延びた」阿部かれんの卒業公演がAKIBAカルチャーズ劇場で開催された。
序盤〜華麗で可憐な阿部かれん
フィギュアスケート仕込みの阿部の華麗なダンスが見どころのOvertureでライブが始まる。
阿部は純白のドレスに赤系の花冠。
スカートの裾が後ろまで長くて優雅なドレープを描くもの。
自己紹介を入れながら、「新メンバー」として加入した2015年春セトリの「抱きしめて」「いじわるねDarlin‘」「baby blue」と、加入当時を回顧するような懐かしめの楽曲が続く。
当時のメンバーで今このステージに立っているのは、阿部かれんと我妻桃実の二人だけなのにもかかわらず、ハコイリ♡ムスメというグループの「変わらなさ」というものを感じさせる。
2014年のAKIBAカルチャーズ劇場の新人公演でハコイリ♡ムスメというグループが結成されたときは、期間限定だった。
それが、「新メンバー」を加え、既存メンバーが卒業しながら、グループとして長く続いていくというスタイルになった、その最初の一人が阿部かれんということになる。
オリジナルメンバー7人の中に一人の新メンバーという状況は、もうこれは誰がやっても大変な境遇だったというのは想像に難くないが、その阿部かれんの苦労が礎になってこそ、その後加入した3期生・4期生たちがハコムスの「魂」を引き継げるようになったと言っても過言ではないだろう。
ユニット曲コーナー〜引き継ぐもの・引き継がれるもの
ここからはユニット曲のコーナーへ。
「ユニット曲4曲連続で」というフリに少し驚く。
阿部のユニット曲そんなにあったっけ、と。
そんな会場の空気を察してか井上姫月が「ハンカチを用意しておいた方がいいかもよ?」と笑いながら話す。
まずは、阿部・星・戸羽という大人ぽい雰囲気の3人で、アイドリング!!!の「春色の空」。
「新しい日々に 私を見つけよう」という歌詞が、聴いている側の思入れもあってか心に響いてくる。
次は、阿部・我妻・星でQlairの「お引っ越し」。
ハコムスの三声ハモとしては一つの頂点を極めたようなユニットのパフォーマンス。
先月のレコーディングで「あの日へ戻りたい 戻れない悲しい」という裏メロまで吹き込んだオケに乗せた完璧なボーカルで、阿部かれんの最高到達点を見る思い。
次は、阿部・寺島・井上の3人で渡辺満里奈の「深呼吸して」。
元々は当時パフォーマンスリーダーだった小松もかがセンターを務めていた曲だが、今はすっかり阿部かれんのキャラクターにはまっていている。
この辺までは、ユニット曲としてある程度予想していたが、最後の曲のイントロが流れたときに雷に打たれたような衝撃が走った。
ピアノの高音部を使ったフレーズのバラード。
「いちご水のグラス」。
これは・・・
泣くしかない。
ユニット「Sweet Dream」でタッグを組んだ阿部かれんと戸羽望実の二人による「いちご水」。
今年3月に鉄戸美桜と塩野虹のペアで見て感動させられたが、卒業生と在校生代表による「継承」の儀式のような曲。
阿部の堂々とした歌もさることながら、最年少の戸羽が全く臆することなく、正面から渡り合っていて、「引き継ぐもの・引き継がれるもの」のかたちを見る思いがした。
「ハードコアかわいい」の伝授、そしてメンバーからの手紙
次の企画は、久しぶりの「シチュエーション萌え台詞」コーナー。
「卒業式で好きだった人に」「転勤する先輩へ」「引っ越す恋人にデートの後で」という3つのシチュエーションが用意され、指名されたメンバーのセリフの後、「教官」となった阿部がお手本を見せるという流れ。
吉田万葉、塩野虹、井上姫月がそれぞれ自分の個性を見せる演技を見せたが、それを上回る破壊力の台詞を決める阿部。
決めた後で、恥ずかしくなって、舞台袖に隠れようとしたり、その場で崩れ落ちたり、そんな感じのカジュアルな姿も実に「らしさ」があった。
一通り終わったと思わせた後に、急遽、星里奈が指名されたが、独特の空気の作り方や、後からじわじわと意味が分かるシチュエーションなど、「ポエドル」としての格の違いを見せつけた。
阿部の華麗なターンが見どころの「エトワールを夢みて」、ツンデレな雰囲気がかわいい「約束のポニーテール」、阿部のソロが存分に堪能できる「Like a Shooting Star」と「Be My Diamond!」とライブは続いていく。
そして、ハコイリ♡ムスメ卒業公演恒例のメンバーからお手紙朗読。
一人で上手側に立った阿部が「あーなんかこっちに立つと(卒業するって)実感が湧くわー」と、場を和ませるような空気を醸す。
トップバッターでしっかり者のように見える戸羽が手紙を読み上げ、阿部からの言葉をかけてもらうところで号泣。
「泣かないようしていたのに」と。
最後にリーダーの我妻桃実が手紙を読み上げた後、阿部の言葉は「最後までぽにょさんの力にはなれなかったかもしれない」と。
確かに阿部かれんは強いリーダーシップを発揮するタイプではなかったのかもしれないけれど、「新メンバー」として加入した自らの苦労を知っているからこそ、3期生や4期生に対して気を配ることができていたのだろう。
今年4月、ハコムスがファーストコンサートを行うと発表したときの抱負として、阿部は「私はサポート役に回りたい」と語った。
この時既に阿部が9月に卒業することはメンバーだけは知っていたわけだけれども、彼女の「サポート」の成果は確実に3期生・4期生のパフォーマンスの成長として形になったと思う。
アイドル阿部かれんの最後の姿
いよいよライブは終盤へ。
旅の中で出会いと別れを繰り返すことの意味を歌った「旅をつなげて」、そしてどんなことがあってもいつまでもずっとなかよしでいようと歌う「なかよし」。
「いちご水のグラス」も「なかよし」も、阿部がハコイリ♡ムスメに加入した2015年の春にレパートリーに加わった曲。
阿部はオリジナルメンバーではなかったが、ハコイリ♡ムスメの「第二章」を形作り、成長し、後進に伝えて来たという点で、ハコムスのセンター的な存在であったと言えるかと思う。
ファンからの力強い「かれん!かれん!」コールのアンコールでステージに登場したメンバーは、阿部がセンターのフォーメーションで始まるCoCoの「はんぶん不思議」。
阿部の「あなたいじわる」もこれで聴き納めかと思うと寂しいが、ハコイリ♡ムスメの傑作MVを見ることができる僕らは幸せなのかもしれない。
最後は、アイドリング!!!の「friend」、そして阿部が加入した2015年春に初めて作られたオリジナル曲「微笑みと春のワンピース」。
いつもなら阿部がDメロの「お星様にお願いしたわ」を歌うのに、今日はまさかの吉田万葉。
ちょっと頭が混乱しているところに、いつも吉田が歌っているキーの高い「あなたのコール 待ってる小さなつぼみなの」をパートで、阿部かれんの全力高音ボーカル。
ここは、加入したばかりの阿部が任されるはずだったのが、高音が出ずに変えられたという曰く付きのところ。
ここを伸びやかにキラキラと歌い上げる阿部の姿に、ハコイリ♡ムスメの3年半の成長がしっかりと現れていた。
単に個人のスキルを伸ばしたというだけではなく、阿部かれんはハコイリ♡ムスメが成長の場であること、そこで成長することでファンや後輩に何かを伝えられること、グループに何かを残せることをしっかりと示した。
実に素敵な卒業公演だった。
スペシャルグッズ「阿部かれんだー」
終演後は、この日のために用意された「阿部かれんだー」を購入して特典会へ。
かれんちゃんは何度も撮影させてもらったけれども、これが僕のラストシューティング。
僕の阿部かれんだー最終ページ。
かれんちゃん、今まで本当にありがとう!
(セットリスト)
0 Overture
1 抱きしめて
自己紹介
2 いじわるねDarlin‘
3 baby blue
MC
4 春色の空(阿部・星・戸羽)
5 お引っ越し(阿部・我妻・星)
6 深呼吸して(阿部・寺島・井上)
7 いちご水のグラス(阿部・戸羽)
企画
8 エトワールを夢みて
9 約束のポニーテール
10 Like a Shooting Star
11 Be My Diamond!
お手紙・挨拶
12 旅をつなげて
13 なかよし
(アンコール)
en1 はんぶん不思議
MC
en2 friend
en3 微笑みと春のワンピース