これが 未来へ向かう最初の舞台〜ハコイリ♡ムスメ ファーストコンサート@有楽町オルタナティブシアター

これが 未来へ向かう最初の舞台
ずっと 信じている
パラディ…

キラキラ光る 私のアラベスク
リボンとレース ふわりと揺れるよ
神様 続けて ときめきの魔法を
(「エトワールを夢みて」ハコイリ♡ムスメ)

結成4周年を迎えたハコイリ♡ムスメが、有楽町のオルタナティブシアターで”ファーストコンサート”を開催した。

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ハコイリ♡ムスメは、2014年のAKIBAカルチャーズ劇場の新人公演のため”夏休み限定”で女優志望の女の子7人で結成されたグループ。

2015年以降メンバーの加入と卒業を繰り返して、現在はオリジナルメンバーはリーダーの我妻桃実のみ。

だが、激動のアイドル界の中でついに4周年を迎え、満を持しての”ファーストコンサート”を開催となった。

”コンサート”と銘打つだけあって、チケットは今時珍しいピクチャーチケット。

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会場となったのは、有楽町マリオンの7階にあるオルタナティブシアター。

映画館を改装したところで、とっても華やかな雰囲気。

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館内は、ステージが高く、客席も緩やかに傾斜がついていてどこからでも見やすい。

今日のコンサートは2部制で、昼の部はカバー曲のみで構成される「青春の音符たち」、夜の部はオリジナル曲のみで構成される「私たちの宝バコ」となった。

最近2部制のワンマンは良くあるけれども、ここまで異なるコンセプトにするのもなかなか珍しい。

昼の部「青春の音符たち」(カバー曲)

セットはステージの上から複数の布をアレンジしているのみというシンプルなもの。

だが、ドレープが重厚感や奥行きといったニュアンスを与えて、まるでローマ式の建造物のように見える。

コンサートは、ピンライトを浴びてソロで登場した星里奈によるポエトリーリーディングでスタート。

純白の新衣装で天使のように見える8人のメンバーが「もう天使は卒業ね、わたし」と歌う「ティーンエイジ・セレナーデ」(里中茶美)から、ハコムスの代表的カバー曲の「はんぶん不思議」(CoCo)へ。

今までのハコムスとは違った、なんというか、自信に満ちて、磨きがかかったようなメンバーの姿に感動させられる。


自己紹介の後は、青春時代というか学生時代を思い出させる「抱きしめて」(チェキッ娘)、「少女時代」(斉藤由貴)、「陽春のパッセージ(田中陽子)。

聞き慣れたはずの曲たちが、今までで一番みずみずしく、そして生々しさをもって迫ってくる。

広くて高いステージ、美しい照明、クリアな音響が、「ハコムスの世界観」を一層引き立てる。


「ハコムスは季節感を大事にしています。ここからは、初夏から夏、そして夏の終わりを感じさせる曲をお聞きください」というMC。

「アンブレラ・エンジェル」(おニャン子クラブ)で恋の始まりを予感させ、「眩しくて」(Qlair)で恋の綻びを感じさせ、「泣かないでエンジェル」(Qlair)で早くも失恋し、「ストローハットの夏想い」(斉藤由貴)で去り行く夏を振り返る。。。


ハコムスならではの切なさを含んだ繊細な表現。

特に「ストローハットの夏想い」では、現体制で「歌姫」のポジションを確固たるものにした星里奈の表現力が光っていた。

ここからライブも後半、また新しい夏へ。

「夏がまた来る」の歌い出しで始まり夏への期待感を歌う「レモンドロップ」(アイドリング!!!)から、好意を持たれている異性との駆け引きを楽しむ「水平線でつかまえて」(三浦理恵子)、そして「恋して海へ行こう」と高歌い上げる「海へ行こう」(チェキッ娘)。

このブロックでは、クラップやコールも入って、コンサートが一層盛り上がる。

全席着席のホールコンサートではあるが、単に「鑑賞会」で終わらないのも、ハコムスのライブの楽しさ。

終わる夏を惜しむ気持ちとフィナーレに向かうコンサートを重ねつつ歌われる「夏休みは終わらない」(おニャン子クラブ)、そして「Be My Diamond!」(ribbon)。


大人になって夏が終わるかと思っていたけれども、そんなことはなかった。

こうしてハコムスのコンサートに来れば、いつでも夏を、季節を感じることができるのだから。。。

リーダーの我妻桃実が語る。

「100曲を超えるカバーをやらせてもらっているけれども、カバーはコピーとは違う」

「原曲を歌っていた人、作った人、聴いていた人、それぞれの想いがその曲には込められている」

「カバーは本当に難しいと思うけれども、原曲を歌っていた方と共演する機会もあって「歌い継いでくれてありがとう」と言われることも」

「カバーをすることでそういう人たちをがっかりさせないように、そういう人たちの想いを大切にしていきたい」

「ハコイリ♡ムスメがこうして4年も活動を続けてこられたのは、多くの人の支えがあってこそ」

「これからもこのハコイリ♡ムスメが続いていくよう、みなさんとずっと付き合っていけるようにという気持ちを込めてこの曲を歌います」

というMC・曲フリの後、最後の曲は「なかよし」(上田愛美)。

「もっと長く付き合っていこうよ」という歌い出しで始まるこの曲は、ハコムスのカバー曲のレパートリーの中でも、ここぞという機会に大切に歌われて来たもの。


こうしてファーストコンサートというハコムスの歴史の中でも最高の晴れの舞台で、多くのファンや関係者を前に歌われることで、この曲の歴史に新しい意味が一つ加わる感じがあった。

(セットリスト)

朗読(星里奈)
1 ティーンエイジ・セレナーデ/里中茶美
2 はんぶん不思議/CoCo
自己紹介
3 抱きしめて/チェキッ娘
4 少女時代/斉藤由貴
5 陽春のパッセージ/田中陽子
MC
6 アンブレラ・エンジェル/おニャン子クラブ
7 眩しくて/Qlair
8 泣かないでエンジェル/Qlair
9 ストローハットの夏想い/斉藤由貴
MC
10 レモンドロップ/アイドリング!!!
11 水平線でつかまえて/三浦理恵子
12 海へ行こう/チェキッ娘
MC
13 夏休みは終わらない/おニャン子クラブ
14 Be My Diamond!/ribbon
MC(カバーへの思い)
15 なかよし/ 上田愛美

夜の部「私たちの宝バコ」(オリジナル曲)

夜の部は、オリジナル曲15曲の公演。

まずは、ハコムスが「エトワールを夢みて」のコンセプトで示して来たバレエをモチーフした衣装。

最初に阿部かれん我妻桃実・吉田万葉というバレエやフィギュアを経験しているメンバーが登場し、初めて聞く音楽に乗せて軽やかにステージを舞う。

完全にクラシックバレエのコンサートの雰囲気。

続いて、メンバー8人全員がステージに登場し、その「エトワールを夢みて」を披露。

これが 未来へ向かう最初の舞台
ずっと 信じている
パラディ…
(「エトワールを夢みて」ハコイリ♡ムスメ)

ハコムスが「地獄の夏合宿」まで行って、ボーカル・ダンス・表現力に磨きをかけたファーストコンサート。

そう。これは最初の一歩。

だが、この先に続く道への第一歩なのだと、パフォーマンスを観ながら理解する。

幻想的な「星降る夜の招待状」を歌うと、そこで自己紹介。

ここでは、冒頭のバレエの時の曲がハコイリ♡ムスメ初の「Overture」であると明かされる。

短い時間にハコムスの世界観を詰め込んだようなOvertureであり、今後、対バンやフェスで活躍するだろう。

初のオリジナル曲「微笑みと春のワンピース」、PENGUIN DISCレーベルからの初CD「ハコいっぱいのプレゼント」を披露。

メンバーが加入と卒業を繰り返して来ているハコムス。

だが、「ハコムスのDNA」あるいは「ハコムスの魂」とでも呼ぶべきものは、メンバーが入れ替わっても変わることがない。

いや、むしろ、どんどん強く、濃くなっている気さえする。

その想いは、次の曲「さよならのプリエール」を聴いて、確信へと変わった。

失恋を歌ったこの曲を、ただ哀しいだけではなく、美しさや強さを感じさせる「物語」として聴かせられる。

それがハコイリ♡ムスメ。

随所にバレエのモチーフを取り入れたダンスも、儚さや切なさを表現して余りある。

総合芸術、と呼んでも過言ではないだろう。


ここで塩野虹以外のメンバーがステージからはける。

塩野は森の中で彷徨う少女を演じる。

いや、彼女が彷徨っているのは、自我の中、自分探しの中でもある。

自問自答して迷う彼女に、天井から澄んだ声が響く。

「私もそうだった。でも大丈夫」と。

そして「見守っているから」と言って彼女を安心させる。


次に、衣装を着替えた我妻桃実阿部かれんが登場し、同じように森の中を彷徨う。

「どっちに進めばいいのか。私だっていつも自信満々なわけじゃない。迷うこともある」と我妻が心情を吐露すると、やはり天上から声が導く。

「迷ったときこそ自分を信じて。きっと大丈夫。一人じゃない」と。


この「天井の声」は終演後のTwitterでハコイリ♡ムスメを最初に卒業した門前亜里であると本人が明らかにした。


ハコイリ♡ムスメは、もやは個人の集合体ではなく、ある種の「概念」として存在している。

現メンバー、プロデューサー、卒業生、スタッフ、そしてファン。

それぞれの胸の中に「ハコイリ♡ムスメ」という理想的な概念があるのだろう。もちろん僕にも。


今日初披露となる”昭和ワンピース衣装”に着替えたメンバーは、夏のオリジナル曲「レモネード・キッス」「アンバランスなサマー」を。

星里奈・吉田万葉・井上姫月の3期生が入ってすぐのオリジナル曲「乙女はびっくり箱」、子供組がメインの「VIVA! トロピカル・サマーウォーズ」へ。

井上姫月のハイテンションな煽りがライブを盛り上げる。

吉田万葉・寺島和花の夏オンナの魅力が炸裂する「夏に急かされて」では、客席から大きなコールが起きてライブが一つのクライマックスを迎える感じが合った。

MCを挟んで、この夏のオリジナル曲2曲を披露。

最初の曲は90年代のアイドルソング風と説明された「渚でロ・マ・ン・ス」。

打ち込みのリズム隊とデジタルシンセ風の軽やかなアレンジの中に、ちょっとひねったコード進行が印象的な曲。

もう一曲は、ハコムス初となるボサノバ曲「あの夏のリグレット」。

物語的には、去年の大人曲「真夏のファンファーレ」で歌われた悲恋を、相手の女性の立場から歌ったもの。

大人っぽい表現が求められる難曲だが、涼しげなボッサのアレンジと、軽めに歌われるボーカルが、ハコムスの新境地をひらくように思われた。

2曲ともライブを重ねてこれから育っていくことに期待したい。


ライブ終盤は、その「真夏の恋のファンファーレ」「Let‘s Party Time!」へ。

「真夏の恋のファンファーレ」は、去年は子供組はほぼダンスのみであったのが、今回はボーカルで活躍するパートが増えていた。

最年少で中学一年生の戸羽望実も、もはや「子供組」と呼ぶのをためらうくらいに成長が著しく、今後ハコムスのイメージを牽引していくことが期待される感じがあった。

そして「Let‘s Party Time!」。

曲フリでは「この時期は本当にハコムスも大変で」という前置きもあり、僕の方も当時の記憶をたぐると「癒しと安らぎとトキメキ」に加えて、一抹の「苦さ」を思い出したりもするが、そんな辛さを吹き飛ばすようなパフォーマンス。

間奏での阿部かれんのソロダンスには、新しいアレンジが加わって、まさに新しい一歩を踏み出したことを象徴していた。

最後の曲の前にリーダー我妻からMC。

「ハコイリ♡ムスメは最初は夏休み限定のユニットだった」

「事務所で「アイドルに興味ある人?」と聞かれて手を挙げた7人が集められて、活動が始まった」

「夏休みが終わっても続くことになったけれども、あの頃は4年後に自分がリーダーになるとか、こうしてコンサートができるとは思ってもみなかった」

「アイドルをやっていてつらいこともあった。でも、楽しいこともある。私はアイドルが好き。ハコムスが好き」

「今アイドルは色々なことがある時代だけれども、私はこれからもアイドルを続けていきたい。ハコムスを続けていきたい」

「ハコムスがここまで続いて来たのには、メンバー、スタッフ、そして何よりもファンの皆さんの応援があってこそ」

「みなさんが癒しと安らぎとトキメキを感じられるように、そういうときにハコイリ♡ムスメという場所があるように、ここを守っていきたい」

そんな曲フリの後に最後の曲は「旅をつなげて」。




人生は旅だ。

それぞれの旅の中で、それぞれの人が、それぞれの目的地に向かう。

多くの人が行き交い、すれ違い、交差する中で、僕らは誰かと出会い、誰かと別れていく。

そこで同じ時間、同じ場所を過ごすというのは、ある意味で奇跡みたいなものだ。

僕らはその出会いに感謝し、この先の旅をできるだけともに楽しめるように祈ろう・・・




ハコムスのファーストコンサートは、「4年間の重み」と、「メンバーを替えながら受け継いでいくもの」をはっきりと見せてくれた。

いい音楽を時代を超えて伝えていくハコムスは、音楽好きにとってかけがえのない存在。

流行に媚びたり、安売りしたりすることはしない。

今日のファーストコンサートも「鈴木Pはこういう光景を見せたかったのか」と膝を打つものでもあった。

「ちゃんと見えること」「ちゃんと聞こえること」が確保されたホールだからこそ、表現する方も鑑賞する方も「世界観」に入り込むことができるんだと。



この先、ハコイリ♡ムスメがどう活動をしていくのかは僕には分からない。

だが、「長く続くグループ」であって欲しいと心から願う。

たとえメンバーが変わっても、カバーする曲が変わっても、きっと将来もハコムスはハコムスだろう。

それくらいの強烈な個性がハコイリ♡ムスメにはある。

そんなハコイリ♡ムスメとずっと長く付き合っていきたい。


早くもセカンドコンサートを楽しみにしてる(気が早すぎ)。


(セットリスト)

0 Overture(初披露)〜バレエ(阿部・我妻・吉田)
1 エトワールを夢みて
2 星降る夜の招待状
自己紹介
3 微笑みと春のワンピース
4 ハコいっぱいのプレゼント
5 さよならのプリエール
寸劇
6 レモネード・キッス
7 アンバランスなサマー
MC
8 乙女はびっくり箱
9 VIVA! トロピカル・サマーウォーズ
10 夏に急かされて
MC
11 渚でロ・マ・ン・ス(初披露)
12 あの夏のリグレット(初披露)
13 真夏の恋のファンファーレ
14 Let‘s Party Time!
MC(4周年)
15 旅をつなげて
MC(お礼)

物販・特典会

物販の目玉は、パンフレット。

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実質的には写真集で、これは将来のお宝間違いないのクオリティ。


昼の部の全チェキ。

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バレエ衣装いいよね。


夜の部の全チェキ。

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昭和ワンピース、早く撮影したい。