永遠に守りたいという想い〜『僕の彼女を紹介します』

「だって誰かが誰かをずっと永遠に守りつづけるなんて、そんなこと不可能だからよ。ねえ、もしよ、もし私があなたと結婚したとするわよね。あなたは会社につとめるわね。するとあなたが会社に行ってるあいだいったい誰が私を守ってくれるの?あなたが出張に行っているあいだいったい誰が私を守ってくれるの?」
(『ノルウェイの森村上春樹

そう。でも「永遠に君を守り続けたい」という今のこの想いに意味がないわけじゃないんだ。

クァク・ジェヨン監督作品の中で観る機会のなかった『僕の彼女を紹介します』を観た。主演はチョン・ジヒョン、しかも強すぎるくらい強い女性を演じるということで『猟奇的な彼女』の二番煎じに見えてしまう。もちろん作り手の方もそう思われるのを承知の上で…という内容。一つ一つのシーンに関連がなく全体の構成も散漫で伏線めいたものも回収されないというのは、この監督のほかの作品にも共通する欠点。個人的には、エンディングも、自虐的かつ楽屋落ちっぽくてあまり好きにはなれなかった。これが韓国で『シュリ』の興行成績を塗り替えたとはちょっと信じがたい。

だが、ヒロインを美しく撮ることについては抜群の才能で、この長所のためなら、欠点も許せる。世間の評価もそういうことなんだろう。女優の最高の表情を引き出し、魅力の香り立つような演出を行い、息を呑むような綺麗な映像として収める。黒髪美人で身長172cmというモデル体型のチョン・ジヒョンが、単なるアジアンビューティではなく、なんだかすごく隙だらけでかわいく見える。この監督の撮った『僕の彼女はサイボーグ』での綾瀬はるかも尋常でない輝きだったが、チョン・ジヒョンの制服姿は、どことなくコスプレな風味もあって素晴らしい。こんな婦警なら誤認逮捕されてもいい!と。日本も、ゴスロリデカワンコブス顔変顔ばかりではなく、こういうかわいい婦警を世に送り出してほしいと願わずにはいられない。

ところで、XJAPANの『Tears』が主題歌っていうのは、日本人にとっては面映いというか、ちょっと微妙。もちろん、韓国における日本文化のポジションを考えると、よくぞこれを劇場で公開したと評価されるべきなんだろうけど、それにしても、ちょっとくすぐったい感じがした。

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