海老沢三姉妹シリーズ(というほどでもない)の次女・佳織が登場するシギサワカヤ『溺れるようにできている。』を読んだ。一巻完結モノ。
溺れるようにできている。 (まんがタイムKRコミックス エールシリーズ)
- 作者: シギサワカヤ
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2008/08/27
- メディア: コミック
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タイトルが現代文学っぽく、表紙が例によって艶っぽいが、内容は基本的には『ファムファタル』と同じで、恋愛に関する心理描写。ただし、本作品は佳織を主人公とした女性視点で描かれるところが『ファムファタル』との最大の違い。
女性視点で複雑で屈折した内面を描くことで、エンタテインメント性は低いかもしれないが、人物としてのリアリティは増しているように思う。この主人公を「暗い」とネガティブに取るか、「かわいい」とポジティブに取るかは、読者がどこまで屈折しているかによるかもしれない。
ちなみに内容的には艶っぽい描写はほとんどなく、表紙の雰囲気から期待して読むと肩透かし。裏表紙にもこう書かれている。「この本のジャンル:ハートフルがっかり」と。後書きにも「驚愕と諦めと混乱のハッピーエンド、っぽいけどアレ?...ハッピーってそもそも何......?という疑問が思わず湧いてくるキャンペーン実施中☆」なるほど。作品の特徴は著者が一番分かっているようだ。でも、これこそがシギサワカヤの良さではないだろうか。ということで、シギサワカヤ入門にぴったりな一冊、絶好のシギサワカヤ入門、といった位置付けの佳作だと思う。さて、次は何を読もう?