背徳感こそ本領〜シギサワカヤ『誰にも言えない』

シギサワカヤの最新単行本『誰にも言えない』を読んだ。以下ネタバレ。

誰にも言えない

誰にも言えない

まず、表紙絵が服を着ていようがいまいが関係ない。シギサワカヤの本は買う。そして周囲にも勧める。どう思われようが関係ない。しかし、この表紙いいね。醸し出す隠微な雰囲気が。カバーをはずすとお楽しみもあるし。

さて、内容の方は、基本的には『楽園 Le Paradis』に掲載された『誰にも言えない』(第2号掲載)、『全ては一つの空の下』(第3号掲載)、『エンディング』(第4号掲載)を柱に、Web楽園と書き下ろしを加えてスパイスを効かせたもの。意外な人物に意外な関係があったりして、雑誌の読みきりを追うだけでは味わえない世界の広がりを感じさせる作品集になっている。なんというか、短編集から連作集になったような味わい。

特に『誰にも言えない』で描かれている背徳感こそシギサワカヤの本領だろう。しかし、禁じられたことの方が人を夢中にさせるというのは世の中の摂理なんだろうか。