でも僕らはいつでも喋り出すのさ〜『Boy's Surface』

かつてフリッパーズギターはこううそぶいた。

ハイファイないたずらさ
きっと意味なんてないさ
でも僕らはいつでも喋り出すのさ
(『Big Band Bingo』フリッパーズ・ギター

小沢健二、1968年生。小山田圭吾、1969年生。そして、円城塔、1972年生。

円城塔の『Boy's Surface』は壮大ないたずらだ。きっと意味なんかない。でも、いつでも喋り出している。

Boy’s Surface (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)

Boy’s Surface (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)

こんなにスマートな本も珍しい。こんなに馬鹿馬鹿しい本も珍しい(いい意味で)。そして、これほど内容のない本も珍しい(もちろんいい意味で)。

ブンガクって何だろう。ニンゲンって何だろう。そんなことを考えていると、僕らの営みなんて、確率的に生起しているのではないかとか、順列・組み合わせ的に記述できるのではないかとか、自動生成的に複製できるのではないかと思えてくる。

僕にとって、円城塔のブンガクはそういう性質のものだ。これは哲学かもしれない。もしかしたら論理かもしれない。そして、信仰かもしれない。そんなことをいろいろと考えさせられる一冊。でも、読む人を選ぶから、いろんな人に勧めるわけにはいかないな。