YUKIの新作アルバム『うれしくって抱きあうよ』ばかり聴いている。ポップスあり、ロックあり、ジャズあり。どんな曲にも「愛」とか「包容力」を感じることができる名盤だが、タイトル曲でシングルカットされた『うれしくって抱きあうよ』が圧巻。
うつむいたり叫んだり 忙しい僕らの宴 ありがとうに出逢う街
うれしくって抱きあうよ
巡り逢い 胸高鳴る 君の頬を濡らしてくよ
僕をあげよう 溢さないよう 火の無い場所 煙は立たず
欲しいものなら手に入れたんだ 僕と君を繋いだ ハレルヤ!!
サウンド的にはフィラデルフィア・ソウルの系譜に連なる感じ。つまり、温かくて、やわらかくて、しっとりとしている。この曲を聴いている間、しばし孤独を忘れることができる。それはYUKI自身の「幸せ」を共有できるような錯覚に陥るからだろう。そして、この曲を聴き終えると僕は悲しくなる。いかに自分が、冷たくて、痛くて、ぎすぎすしている世界にいるのか、その対比がはっきりとするからだ。僕は、孤独だ、と。
椎名林檎を聴くときも、僕は孤独を感じる。それは彼女の音楽の中に、孤独、不安、強がり、叫びを聴き取るから。あたかも彼女が自分と同種の人間であるかのように。そこに共鳴するものがあるから。だが、YUKIを聴いた後に感じる孤独は、そのような共鳴とは違う。彼女が「ここにいないこと」が、僕を孤独にするんだろう。
…どうも、なんだか上手く言えない。YUKIの音楽について言葉で語るのは難しい。僕は『うれしくって抱き合うよ』を聴く。その間、僕は幸せな気持ちになる。それでいいのかもしれない。それだけで。
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