犬童一心 監督の『メゾン・ド・ヒミコ 』を観た。以下、ネタバレ。
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- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/03/03
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ゲイ専用の老人ホームのオーナーで、末期ガンで死が間近に迫るヒミコ(田中泯)。彼の若い恋人・春彦(オダギリジョー)。ヒミコの実の娘・沙織(柴咲コウ)。この三人を中心に織り成す人間模様。
ともかく美しく、繊細な映画。大げさな盛り上がりも、説教めいたエンディングもないが、この映画は一つのことを教えてくれる。それは「人には譲れないことがある。でも、あなたを尊重する」という態度が大切であること。
沙織は死に行くヒミコに「家族を捨てて後悔しなかったのか」と問う。彼は後悔しているとは決して口にしない。その代わりに娘にこう告げる。「でも、あなたが好きよ」
愛しているなどということは気恥ずかしい。でも、その気持ちを伝えなくてはいけない。死が二人を分かってしまったあとでは遅すぎるから。でも、僕は実際に近しい人にそういう気持ちを伝えることができるだろうか。伝えられているだろうか―
ヒミコを演じる田中泯の圧倒的な存在感なくしては成立しなかっただろう。そして、オダギリジョーも「ノンケだって構わず食っちま」いそうな色気を振りまいていて、さすがだと思う。だが、なんと言ってもブスメイク+ブス演技を貫いた柴咲コウが良かった。彼女の出演している作品はいくつも観たけれと、好感を持ったのはこの作品が初めてかもしれない。