柴咲コウは必要か〜映画版『世界の中心で愛を叫ぶ』

世界の中心で愛(アイ)を叫ぶのは、けもの(ケモノ)しかいないと思っていたので、まずこのタイトルに苦笑…

原作の小説は文章のへたくそさに最初の10ページで放り出したのだが、今回、映画版をDVDで観た。

この作品のファンの人は多いし、個人的にもこの作品が大好きだという友人がいるので、あまり悪いことを書くのは気が引けるのだが、それでも、やっぱりどうにも感情移入しきれなかった。なかでも、柴咲コウが演じる女性の必然性に大いに疑問を感じた。いや、登場すること自体は構わないのだが、過去、朔太郎と間接的に関わりがあったという設定が不自然ではないか、などと思ってしまった。かわりに、長澤まさみの存在感が際立っていたと感じる。潔く剃髪した女優根性もたいしたものだと思う。

それでも、今は亡き篠田昇が撮影を務めた遺作としてこの作品の価値は認められる。柔かい逆光の中の世界は、やはり独特の美しさとはかなさを感じさせて、物悲しい気持ちにさせられる。

世界の中心で、愛をさけぶ スタンダード・エディション [DVD]

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