- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/05/29
- メディア: 単行本
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(以下、若干のネタバレを含む)
やはり春樹作品は夢中にさせる。寝食を忘れても世界に進みたくなる何かがある。
今回も奇数章と偶数章で異なる主人公が交互に登場する。その構成はある種の対位法のようでもあり、様式美を感じさせる。
女性と男性。どちらも、属性をどう形容しても陳腐になってしまいそうだし、いくら説明のための言葉を重ねようとも本質を捉えられそうもない。
やがて二人の世界がつながる。いや厳密にはつながったとは言えないのかもしれない。だが、二人の世界は平行線ではない。交点を一つ持つか、あるいはねじれの関係にあるか、だ。
登場するいくつかの宗教団体は、いずれも実在する(した)教団をすぐに想起させる。この小説に不気味なリアリティを与える。
だが、この作品は、実在する(した)カルト教団やその教祖の内部を抉っているというわけではない。小説の部分部分では、そのような読み方を可能にする点を含んではいるが。これはノンフィクションでも、推理小説でもない。どこまで行っても純文学なのだ。
第2巻まで読了したが、世界はまだ終わらない。決着をつけられるべ対象は残ったままだ。
村上春樹にはまだ語るべきことがあり、読者にはまだ読むべきことがあるということだえろう。
この作品については、もう少し精読して、まとまった感想を残しておきたい。