坂本龍一"Playing the Piano 2009"@東京国際フォーラム

坂本龍一の2009年ツアー2日目。会場のエスカレーターで鈴木正文さんの後ろになる。昨日のエントリー(id:SHARP:20090318)で書いたばかりだったが、まさかその翌日にご本人にお会いするとは。細身のダークスーツ(ペンシルストライプ)にライダーブーツというお洒落な服装。声もかけられぬまま、彼は関係者受付へ、僕は一般受付へ。

オープニングは"glacier"。幻想的な照明、映像。ピアノの弦を爪弾く教授。完全なる現代音楽。時間の経つのを忘れ、世界に没入する。続いて、MC。例によってボソボソ。朴訥なのが、好感が持てるところは相変わらず。

そして、"to stanford"を歌い上げるように。坂本節全開。ああ、ピアノという楽器は一台でこんなにも広い空間を支配することができるのだ、と実感。その後、即興。ルバート。坂本の息遣い。

続いて"hibari"。短いようで長い。長いようで短い。もっと聴いていたいと思っていると終わった。「簡単そうに聞こえるでしょう?」と笑いを取るトーク。

そして「次の曲だけは写メールを撮ってもいいということです」のあと、"composition 0919"へ。空間がダイナミックに旋回するようなこの曲に、携帯の照明とさまざまな電子シャッター音がこだまする。これはもう前衛芸術の世界。すごいすごい。ということで、僕も一枚。シャリ―ン。

(PHOTO:シャープ、CAMERA:Docomo N703iD

この後は叙情的な曲が続く。教授はあらかじめセットリストも決めていないようで、楽譜をパラパラと繰りながら曲を選ぶ。照明と映像は、弾き始めてから合わせるそうだ。スタッフ大変そう。

あっという間の2時間。"Playing the Piano"と銘打っているだけあって、まさにピアノが中心のツアー。期待される「坂本龍一」に応えている感じだった。その意味で期待は裏切らないが、欲を言えば、オープニングのような前衛芸術っぽい雰囲気ももっと味わいたかった。映像と照明とサンプリングのうねりの中で、深く内省的に自己の中に沈んでいくような…。まあ、そのあたりは今後の教授の活動に期待しよう。

おみやげにツアーパンフを買う。5,000円也。CDも2枚ついていて所有欲を大いに満たすものだけれども、この値段にもCO2のオフセットが含まれているのでしょうか、教授。