正統な世代交代〜『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』

インディ・ジョーンズ』は、僕の中では『スター・ウォーズ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と並んで「続編の作れない不滅の三部作映画」だった。

その後『スター・ウォーズ』は時間軸を遡ることで「六部作」となったが、『インディ・ジョーンズ』は19年の歳月を経てまさかの続編が世に出ることになった。

(以下、ネタバレを含む)

映像としてのインパクトは過去3作に及ばないというのが正直なところ。敵はナチスではなくソヴィエト連邦になり、舞台は南米のペルーとなった。そして、最後に登場する神秘的な存在は異星人。ここまで来るともうばかばかしさを通り越して「天晴れ」と言いたくなる。

キャスティングは、もうインディ役はこれで最後だろうと思われるハリソン・フォード。そして、劇中でインディの息子であることが判明するマットにシャイア・ラブーフ。『レイダース/失われたアーク』のヒロインにして、マットの母親であるカレン・アレン。もうこのキャスティングだけで、世代交代への伏線としか思えない。

ちなみに、前作『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』でインディの父親役を演じたショーン・コネリーは早々に出演しないことを連絡してきたとか。本作での「ハロルド・オックスリー教授」のポジションがその役どころであれば、このような痴呆症スレスレの役はイメージの点からも断って正解。いや、むしろ英国人は引き際を心得ているというべきかもしれない。

キャスティングで触れずにはいれないのが、ケイト・ブランシェットウクライナ出身のソヴィエトのスパイという設定だが、そこはケイト・ブランシェットのことなので一筋縄ではいかない。地球外生命体の神秘に魅せられ、個人的にも超能力を有するという設定。でも、このような肉体派・戦闘派の悪役はケイトには似合わないと思った。あと、異世界にワープしてしまうラストシーンも、ビジュアル的にちょっと幼稚で、彼女にはお気の毒だった。

と、まあいろいろと突っ込み所は満載だったが、しょせん娯楽映画であることを思えば、シャイア・ラブーフへの世代交代のための作品としては悪い出来ではない。そして、正統な後継者を得て、この作品の系譜が今後も続くのだろうと予感させた。