密輸王に俺はなる!〜『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(2018年、アメリカ)

エピソード7から始まる新三部作もゴールが見えて来た『スター・ウォーズ』シリーズ。

スピンオフの『ローグ・ワン』のヒットを受けて、人気キャラのスピンオフものとして世に出されたのがこの『ハン・ソロ』。

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「帝国対反乱軍」あるは「フォース対暗黒面」みたいな分かりやすい勧善懲悪的な二項対立の世界観の中で、高速船ミレニアムファルコン号を操縦して、相棒のチューバッカとともに、銀河を縦横無尽に渡り歩く密輸業者のハン・ソロ

元来がどこにも所属しない無頼派アウトローの格好良さがあるが、オリジナルシリーズで演じたハリソン・フォードの野性味あるセクシーな演技も合まって、主人公のルークに勝るとも劣らない人気キャラとなった。

フォースを持つキャラクターが超能力(違)バトルを行うスター・ウォーズの中で普通の人がそこまでの人気を博すのは異例でもあるが、レイア姫への一途な思いや、最初はいやいや巻き込まれながらも「帝国に反旗を翻す」という大義に身を捧げる姿に、共感を抱くファンも少なくないと思われる。

そんな人気キャラであるハン・ソロの若き日の姿を描いたスピンオフストーリー。

ヤング・ハン・ソロを演じたオールデン・エアエンライクは、ワイルドな雰囲気の中に優しさを滲ませる演技で、ハリソン・フォードのイメージのついたこの役を魅力的に演じていた。

ハン・ソロ」という名前の由来にも納得感があった。

また、生涯の伴侶というか、銀河を一緒に旅する相棒のチューバッカとの出会いは、想像だにできない突飛なものだったが、そういう出会いから数々の障害を乗り越えてこそ、絆が深まっていったのだと思わせる説得力。

基本的には、ハン・ソロとチューバッカの相棒物という面の強い作品ではあるが、若き日のハン・ソロが思いを寄せる女性キーラも登場。

エンディングでは明らかに続編が用意されている感じたっぷりで終わり、ハン・ソロが高速船の密輸業者になったところから先の、帝国との因縁みたいなものが描かれていくのに期待したいところ。


しかしながら、本作は、途中で監督の交代劇があったりとか、興行的に芳しい結果を残していないとかで、続編の製作は宙に浮いているとの情報が流れている。本当なら残念である。


スター・ウォーズ本編の方は、キャラクター的にも、女性の主人公化や、非白人の活用など、いわゆるハリウッドポリコレによる表現の規制が進んでいる(念のためだが、別にそのこと自体を嘆いているわけではない)。

そんな中、まるで20世紀の古き良き時代のような「男臭い」価値観を全面に出しているこの『ハン・ソロ』シリーズが日の目を見ないようなことがあれば、それはある意味で損失ではないかと思う。

スター・ウォーズのファンが何を求めているのかという点について、今一度、ウォルト・ディズニーの中で議論がなされることを望んでやまない。