語られない闇〜『重力ピエロ』

人生はときに重くときに暗い。だが、重力を忘れることでピエロは軽業をこなすことができる。

重力ピエロ (新潮文庫)

重力ピエロ (新潮文庫)

本来、闇を持っているはずの弟が妙に明るく、語り手である主人公が語られない闇を持っている。遺伝子をめぐるミステリ仕立ても面白い。

本作は伊坂幸太郎の代表作と言われているが、確かにこれは素晴らしい。確かにこれは傑作。村上春樹の作品群の影響が見られるが、十分に独自の境地を切り開いていると思う。