ホイチョイ&フジのバカ映画〜『バブルへGO!』

バブルが嫌いだった。当時学生だったが「こんな時代は長く続かないし、早く終わってほしい」と思っていた。ホイチョイプロの作る映画も、フジテレビのトレンディードラマもみんな嫌いだった。だから、個人的には、バブルが崩壊して世の中がシンプルになっていくのを、僕は当然のように受け止め、そして安堵感を噛み締めていた。

しかし、あのころ「狂乱」していた人は、やはりあの時代が忘れられないのだろう。「ちょいワルおやじ」(もはやこのネーミングにも僕は嫌悪感を感じる)が、ファッションや高級外車やレストランやホテルにお金をかけている姿を見ると、彼らはあの時代を気恥ずかしく思うどころか、誇りにさえ思っているのではないかと感じる。

『バブルへGO!』(公式サイト:TO DOO)は、ホイチョイプロとフジテレビが作り出した「バブルを回顧して懐かしむ」映画だ。バブル崩壊を避けるために、財務省に勤める阿部寛の意向を受けて、広末涼子と薬師丸ひろ子がタイムマシンに乗って過去に戻る…というお話。

(以下、ネタバレあり)

日立の回転式ドラム洗濯機の開発過程からタイムマシンが偶然できてしまった、という時点でおふざけ映画であり、SF考証などと野暮なことを言ってはいけない種類の作品だと思う。だが、ある種の経済政策を止めるだけでバブルの崩壊が回避できたわけはなく、この辺の経済考証の甘さは致命的だ。当時の大蔵省の政策があろうがなかろうか、多かれ少なかれ「経済合理性」によりバブルは弾けていたはずだ。人はいつかは頭を冷やすものだから。

最終的に、主人公らの思惑通りバブル崩壊は食い止められ、現代に戻った登場人物達は「バブル崩壊がなくてよかった」と感じ、お台場にレインボーブリッジが3本(!)掛かっている上を車で走る場面で終わる。バカか。やっぱりホイチョイホイチョイだし、フジテレビはフジテレビだ。

脇役として、劇団ひとりの好演、そしてバブル期のボディコンを着こなしてた吹石一恵が印象に残った。