スーツのポケットの左右に財布・定期入れ・小銭入れをバランスよく入れ、ネクタイで流行を取り入れ、右手に革鞄、左手首には腕時計、革靴とベルトの色を合わせて・・・
そんな”身だしなみ”が求められる時代が平成には存在していた。
世の中のカジュアル化で真っ先にネクタイがなくなり、手持ちの革鞄はリュックやトートに変わっていった。
スマートホン・スマートウォッチの普及やキャッシュレス化によって、定期入れは無用の長物となり、財布も取り出す機会が激減した。
そしてコロナ禍のリモートワーク。
もはや”身だしなみ”という概念さえなくなりそうな勢いで、誰かと対面で会うことなく仕事や勉強を進めるのがスタンダードになってきている。
同じものを流行によって買い替える大量生産・大量消費の時代も終わり、その時その場所で必要とされるものを自ら選び取る時代へ。
これまで20年続いた「新自由主義」が転換され長いデフレが終わるとしても、高度経済成長期のような画一的な消費が戻ってくることはないだろうし、バブル期のような見せびらかし消費が戻ってくることもないだろう。
経済的な豊かさという基盤の上に、個人が自らの趣向で自由に選択できるものが増えるとすれば、これほど良い時代はない。
そんな時代が来ることを願おう。