結局いーたんにとって「世界」とは何なのか?〜『ネコソギラジカル(下)』

戯言シリーズを読了。確かにシリーズ集大成ではあるが、登場人物のキャラクター設定や人数の多さには疑問が残る。

ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)

ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)

クライマックスは「世界を終わらせる」ことを目的としていーたんを「敵」と定義してきたボスキャラ=狐面の男との風変わりな最終決闘。勝負の行方はネタバレになるのでここでは書かないが、ともかく、いーたんにとって「世界」というものが何なのか、結局僕にはよく分からなかった。

個人的な読後感として最も近いのは村上春樹の『羊をめぐる冒険』だが、『羊をめぐる冒険』が喪失感に満ちているのに対して、戯言シリーズはこれだけ人が死ぬにもかかわらず、一部の場面を除いて喪失感すら感じさせない。西尾維新が厭世観を持っていて、生きることに意味を見出していないだろうということが推測できるだけに、今回のようなシリーズの終了のさせ方には納得がいかない*1

いずれにしても、西尾維新戯言シリーズはこれで完結。読了。次に何を読むべきか。一番喪失感を感じているのは僕自身かもしれない。

*1:もしかしたら、出版社サイドの要望に沿ったものなのかもしれない。なにせあとがきには、多少本音を仄めかしているような感じもあるから