期待したほど壊れていなかった〜『きみとぼくの壊れた世界』

戯言シリーズと趣の異なる、と評判の西尾維新きみとぼくの壊れた世界』を読了した(表紙の体操服のイラストに惹かれたのは内緒だ)。

きみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)

きみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)

基本的にはミステリ。テイストは長い長い独白が続くという意味で、ドストエフスキーっぽい。それも犯人と探偵の心理戦という点では『罪と罰』の雰囲気も感じられる。こういう観念的な文章は好き嫌いがはっきりと分かれると思うが、僕は大好き。

ただし、一部で話題となっていた実の兄妹による「一線を越えそう」な関係の描写とか、RPGっぽい「選択コマンド」風の文章とか、その辺は期待したほどではなかった。エロゲーギャルゲーを文学化するという観点だけで見れば、もうちょっと成功している作品がありそうだ。

ということで、文章はいいけれど、内容的にはまあまあ、そんな感じでしょうか。西尾さんはもっと壊れた世界を見ているはずなので、それを真正面から書いてほしいなあと期待しています。