映画のシナリオとして作られたかのような〜『ダヴィンチ・コード』

「大評判」と聞いたとたんに観賞する気を失くしてしまうという天邪鬼な性格が災いして、いまだに『タイタニック』の映画さえ観ていない。そんなわけで世界的大ベストセラーとなった『ダヴィンチ・コード』も未読だったのだが、今回、ある人から推薦して頂いたのをきっかけに読んでみた。

キリスト教の謎に絡んで殺人事件が起きたり、犯人探しの過程で異端派の影が見え隠れするなどという概略を聞いていたので、ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』のような衒学的なミステリーを想像していたのだが、実際には、もっとシンプルでスラスラと読めるものだった。

単行本では上・下巻の2冊だが、上巻の後半あたりから俄然展開が早くなり、最後は一気に読んでしまった。サスペンスとアクションを交えた展開が進み、最後のクライマックスで大どんでん返しが待っているというこの流れは、フレデリック・フォーサイスの『ジャッカルの日』に似ていると思った。

このままハリウッド映画の台本になりそうなくらい分かりやすい作品。映画になってもヒットが約束されているような作品だが、主演トム・ハンクスという微妙なキャスティングで制作しているらしい。

ダ・ヴィンチ・コード〈上〉

ダ・ヴィンチ・コード〈上〉


ダ・ヴィンチ・コード〈下〉

ダ・ヴィンチ・コード〈下〉